高等学校におけるアクティブラーニング型授業の実践

「盛岡三高の参加型授業を語る」

~育てたい生徒像という目標を持ち、その実現のために参加型授業を行う

岩手県立盛岡第三高等学校 副校長 下町壽男先生

<1>なぜ参加型授業が始まったのか

下町壽男先生
下町壽男先生

私は昨年平成25年から盛岡三高に勤務していますが、10年前も盛岡三高に勤めていました。実は、私自身が盛岡三高出身なので、これまでに3度関わっていることになります。

 

盛岡三高は、10年ほど前は「高いレベルでの文武両道」を標榜していました。国公立大学合格者200名が目標値で、東大には複数送り出そう。部活でインターハイに出よう、優勝旗を学校に持ってこよう、ということも目指していました。私はハンドボール部のOBで、顧問をしていましたが、京都でのインターハイでベスト8に入るなど、当時は文武共に輝かしい実績を上げていました。

 

しかし、その一方で結果を求めることに目が行き過ぎて、過剰なガンバリズムがありました。部活と進路指導の間で生徒の板挟みが起こることもありました。数学の先生が朝早くから再テストや、放課後の居残り学習を激しくやり、部活動の顧問の先生と軋轢が生じることもありました。


また授業面では、名人のように突出した力のある先生方のおかげで、「この先生の数学、この先生の世界史なら大丈夫」という個の力量の集積による成果 はありましたが、組織的な力は弱く、授業は受験準備に特化している部分が感じられました。そして、そういう中で疲弊する生徒も現れました。

 

それを物語るエピソードがあります。今30歳ぐらいになっているある卒業生が、先日学校に来て、現在の生徒を見てこう言ったのです。「何で今の三高の生徒って、こんなに前向きで元気なの?私達のときは、みんな下を向いていたのに!」。とにかく高校時代を思い出すと、先生に言われていたのは「勉強時間が足りない、課題はいつ出すんだ」の言葉だけだったと。

 

その後平成18年に全国的に世界史の未履修問題が大きく取り上げられ、本校もマスコミに報道されました。そのあたりから学校全体で「これではいけない」という雰囲気になってきて、当時のリベラルな校長を中心に、改革が始まります。つまり、これまでの教育の在り方を批判的に検証しようという機運が起こったわけです。


そこで侃々諤々の議論が行われ、「生徒の主体性を育てる」「生徒に時間を返す」こと、そして、課題や再テストなど「授業以外で勝負」するのではなく、全学で「授業で勝負していく」ことを掲げました。

 

平成20年度からは、「Dプラン」(現在はSSH[Super Science HighSchool]事業の「SD総合」として実施)として、総合学習の時間にディベートを1年間行うことが始まりました。なお、ここまでの改革の動きは、自分が前回三高を転勤した後のことであり、当時の先生方から状況を伺ってのものであることをお断りしておきます。

 

その後、SSHは平成23年度から、「参加型授業」は24年度から始まりますが、特に昨年25年度からは、学校長の方針として、これらの取組みを独立して行うのではなく、一体的に推進していこうということを強く意識しています。

 

例えば、上図にあるように、今の1年生は、「質の高い人生を生きる」、「社会に貢献する人材を育てる」という教育目標を掲げ、その実現のため、「論理的思考力、科学的探求力、発展的対話力」を生徒に身につけたい力として全体が共通理解します。その上で、参加型授業・SD総合・緑丘ラボの3つの活動を連携・推進する中で、目標の達成を目指します。

 

これは、盛岡三高の改革を、知識基盤社会に対応するスキルや、キーコンピテンシーの理念、つまり、新学習指導要領の目標を達成させるという文脈で、方向性を新たに定義しなおしたものです。

 

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