キャリア教育コーディネーターってどんな人? vol.3

外部人材との豊富なネットワークを最大限生かして

大橋竜司さん

【50代男性/活動エリア:千葉県、東京都、神奈川県】

大橋竜司さん
大橋竜司さん

きっかけは、実社会が教育現場に求める期待値の高さと、教育現場の危機感の認識の違い

 

大橋竜司さんは、長年大手出版社で、企業の人事担当者や役員に対して、新卒・中途採用に関するコンサルティングを行う業務に従事してきました。その中で、日本の産業構造の急激な変化に伴い、採用活動がグローバル化、厳格化し、実社会から学生に求められる期待値と、教育現場の危機感のなさに違和感を感じたことが、キャリア教育コーディネーターになったきっかけだと言います。

 

「就職活動に入る大学生よりもっと前の早い段階から、働くことに対する意識を持ってもらい、社会的に自立した若者を育てる支援がしたい。子ども達に、今学んでいることが将来どういうところにつながり、役立っていくのかを知ってもらいたい」。そういった思いを持ってキャリア教育コーディネーターとして活動してきました。

 

大橋さんのキャリア教育コーディネーターとしての実績は多岐に渡ります。


小学校、中学校、高等学校に、外部人材を招く授業や、卒業前の将来を見据えた目標設定の授業のコーディネートを行ってきました。世田谷区学校支援コーディネーターにも任命されて活動しています。


また、対象は生徒だけでなく、教員研修や、市民向けの学校支援ボランティア養成講座を開発して、キャリア教育コーディネーターの認知を広げていくことにも力を入れています。

 

 

学校ニーズに応じて、外部人材をコーディネートできる強み

 

企業や外部人材との豊富なネットワークを持っていることも大橋さんの強み。その利点を活用して、学校ニーズに応じた様々な外部人材を招いたプログラムの提案には定評があります。また、児童・生徒はもちろんのこととして、先生方にもワクワクしてもらうことを大事にして、先生方の負担を減らすよう取り組んでいると言います。

 

「先生方からメールやお手紙で感謝の言葉をいただくことがうれしいですね。また、ご担当の先生が校長先生に対して、キャリア教育コーディネーターを学校で継続的に使っていくことの重要性を訴えておられるのを見たときには感動しました」

 

今後の課題は2つあると言います。


「キャリア教育コーディネーターが関わるのは、総合的な学習の時間やロングホームルームの時間が多いのですが、むしろ、通常の教科において活用していただけるようにしていきたいと思ってます。もう一点は、企業の人材だけでなく、若い大学生などを巻き込んで活動することを意識していきたいということ。これらの課題に取り組むことで、キャリア教育全体の底上げにつなげていきたいということが願いです」

 

大橋さんによるプログラム事例

職業人による講話+ワークショップで自己理解を深めるプログラム

都立高校1年生
◆奉仕の授業の中で実施/2日間×2コマ連続

 

◆概要 ~「気づき」に終わるのではなく、自己理解が大事


生徒が自らの将来設計を主体的に考えるために、「専門的な職業に就いている外部の社会人の話を聞き、働くということを理解する」、「社会人の話を聞いた上で、ワークショップによって自己理解を深める」という連続性を持ったプログラムです。


社会人講師の一方的な講義で「きっかけ」「気づき」を醸成するのではなく、つながりを持たせた4コマの中にワークショップによる体験を取り入れることで、「気づき」から更に深く踏み込んだ「自己理解」に結びつけることを目指しました。


「大変」「疲れる」といった仕事に対するマイナスの先入観を取り除き、「大変だけど楽しそう」「熱中できる」「自己実現の場」と前向きな気持ちに変化することも狙っています。


◆カリキュラム


【1日目】
1限目 社会人による「今の仕事をするきっかけ」を語る授業
・5人の専門的外部人材による「仕事のきっかけ」について語る講話。社会人講師には、商社の営業担当、広告代理店の営業担当、出版社の企画担当、大学教授、ピアニストを招いた
     

2限目 「自己理解・他者理解」ワークショップ
・5人のファシリテーターによる「価値観シート」を活用した「自己理解・他者理解」ワークショップ。自分が大事にしたい言葉を60のキーワードから5つ選び、この言葉を使って10年後にどのような働き方をしたいかを個々人で考え、グループ内で共有する。

 

【2日目】
1限目 社会人による「仕事は一人ではできない、チームワークが必要」を語る授業
・前日とは違う5人の講師による「チームワーク」の大切さを語る講話。講師には、CMプロデューサー、ポータルサイトの企画担当、旅行代理店の営業担当、国際協力機構の職員、音楽交響楽団の企画担当を招いた。

 

2限目 「コミュニケーション」ワークショップ
・5人のファシリテーターによる3つのゲーム形式のワーク(1.はい、いいえゲーム、2.付箋を使ったペアワーク、3.ペーパータワーゲーム)

 

◆コーディネーターの役割 ~ゴールの共有


コーディネーターは、このプログラムのゴール設定がきちんとなされているか、そして、プログラムに関わる関係者全員が、そのゴールをしっかり理解しているか確認しながら進めていくのが大きな役割になります。そのために、外部から招いた講師、ファシリテーター、スタッフ等にこちらの趣旨を理解してもらうよう事前の打ち合わせをしっかり行い、また、当日も、趣旨を受けてしっかり授業運営がされているか確認しています。


事後は、生徒達からのアンケートや、先生方からのご意見、講師からの振り返りはすべてデータ化して、さらによいプログラムにつなげていけるようにしておきます。

 

◆社会人講師やファシリテーターの選定 ~生徒が親しみを持てるように


社会人講師の選定は、1日目、2日目ともに、企業の規模に関係なく、名前を聞けばわかる企業や職種から行い、生徒が親しみを持てることを意識しました。また、過去に講師経験があり、2時限目のワークショップにつながる話をしていただける方を選んでいます。


ファシリテーターは、キャリア教育事業に携わるNPO法人の方や、大学講師の仲間などが務めます。若年層相手に講義をすることに比較的慣れていて、タイムスケジュールを管理できることが選定の基準です。

 

◆プログラムを終えて ~ファシリテーターの力が大きい


プログラムが進んでいく段階毎に、生徒の仕事に対する前向きな思いや自己理解が進んでいると実感しました。体験させることで自己理解を深めることが大切だと改めて感じました。こうしたプログラムでは、社会人講師も重要ですが、ワークショップの進行のカギを握るファシリテーターの運営レベルが重要であると改めて認識できた授業でした。

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