第6回キャリア教育アワード

【大賞・経済産業大臣賞(大企業の部)】 

積水化学工業株式会社

■プログラム名

積水化学グループ 次世代育成支援プログラム

●“住まいと環境”学習プログラム(積水化学工業株式会社 コーポレート、住宅カンパニー)

●化学教室プロジェクト(積水化学工業株式会社 高機能プラスチックスカンパニー)

●理科教室「“消化・吸収”のしくみと健康」(積水メディカル株式会社)

 

■活動の内容(概要)

<2015年3月2日実施>多摩市立鶴牧中学での授業風景
<2015年3月2日実施>多摩市立鶴牧中学での授業風景

積水化学グループは、「良き企業市民として、『環境』『次世代』『地域コミュニティ』を視点に置いた活動に取り組み、事業活動だけでなく社会への貢献を果たします」という社会貢献活動方針のもと、社会の課題と身近な暮らしを結び付け、体験型の学びを通して新たな価値観、総合的なモノの見方や問題解決力という「生きる力」を育むESD(持続可能な開発のための教育)の趣旨を踏まえ、積水化学グループの事業特性を生かした教育支援活動に2007 年より取り組んできた。

 

各取組は社内のカンパニーや関係会社ごとに実施されており、小・中学校を対象に、「“住まいと環境”学習プログラム」「化学教室プロジェクト」「理科教室~“消化・吸収”のしくみと健康」の3つのプログラムを提供している。

 

<2015年6月13日実施>ニュージャージー日本語補習授業校にて実施の化学実験イベントの様子
<2015年6月13日実施>ニュージャージー日本語補習授業校にて実施の化学実験イベントの様子

すべてのプログラムは、理科や家庭科の学習指導要領を考慮しており、教科の目標を教員と協働で設定するとともに、積水化学グループの次世代育成への考え方を組み込み、それらを基盤として授業を構成している。また、授業は班での活動がメインとなっており、同社の従業員がそれぞれの班に関わり、「どうして?」という疑問や「すごい!」という驚きの声に応えることで、生徒の興味・関心を高めている。特に、理科実験では、先生一人だけでは、個別の班への適切な助言や疑問への回答を十分に行うことができないという課題もあることから、高い評価を得ている。

 

活動は、開始から8年が経過したが、2014 年度および2015 年度では、積水化学グループの「CSR SHINKA(=進化、新化、深化)」という共通理念のもと、教員と協働しながらさらに各プログラムを進化させ、より多くの児童・生徒、教員と関わりを深化してきた。また、それぞれのプログラムにおいて、学習指導要領の改訂や教員のニーズに合わせたプログラムへの改訂、新しいプログラムの開発に着手している。

 

今後はさらに従業員参画の意識向上を図り、より活動を充実させていくため、各プログラム担当者だけでなく、参加している従業員同士の交流を活発にすることを計画しており、活動全体がさらにSHINKA していくことを目指している。

 

■活動の内容(詳細)

 

◇「継続性」についての具体的な取組、工夫している点など

 

学校の教育課程の中で、継続して実施していくために、教員検討会や教員アンケート、プログラム検証検討会、教員研修を実施するなど、プログラムの開発段階から実施・改善まで、常に教員と協働している。

 

各地域にエリアリーダーを配置したり、研究所の全従業員が関わる体制をつくったりするなど、各カンパニー・事業所ごとに参加人員の拡大策に取り組んでいる。また、教員や生徒からの感想やフィードバックを伝えることで、参画している従業員のモチベーションアップを図っている。

 

◇「普及性」についての具体的な取組、工夫している点など

 

化学教室プロジェクトにおいては、教育機関へ出張授業要請のFAX フォームを配布し、広く要請に応じる体制を整備している。高機能プラスチックスカンパニーでは、海外拠点が多いという特徴を活かし、アメリカやオランダの現地校や日本語補習授業校で化学実験イベントを開始した。

 

◇「汎用性」についての具体的な取組、工夫している点など

 

教員からのアンケートやヒアリングなどを通じて、プログラムの改訂を行っている。化学イベント等の学校教育外での活動の際には、基本プログラムを軸に、時間や内容についてイベントの主催者と詳細な打ち合わせ行ったうえで実施をしている。

 

◇「企画性」についての具体的な取組、工夫している点など

 

プログラムは、学習指導要領を十分に考慮しており、教科の目標設定を教員と協働で設定するとともに、積水化学グループの次世代育成への考え方を組込み、それらを基盤として授業を構成している。例えば、“住まいと環境”学習プログラムでは、「状況を読み取り、論理的に考える力」「人に分かりやすく伝える能力」を育成したい能力として設定し、実際の住宅の1/24 スケールの模型を使った家づくり体験を通じて、構造や空間を立体的にイメージしながら、依頼主のための「いい家」を提案するために、発想力を発揮して、楽しく考えられるようなプログラム内容としている。

 

また、プログラムは学習指導要領に基づいていることから、各単元における授業の「理解の深度化」「発展」と位置付け、事前・事後の授業と結びついている。

 

プログラムではグループでの言語活動が充実しており、互いに意見を出し合ったり、自分の考えを発表する活動を組み込んでいる。

 

◇「キャリア教育としての教育効果」についての具体的な取組、工夫している点など

 

プログラムの中で、企業講師が直接生徒に関わっていくことにより、仕事や生き方に対して企業で働く社会人(研究者、技術者等)がどのような考え方や思いを持っているかを自然に感じることができるような内容となっている。また、各事業と関連した教材を用いていることから、学校での学びと社会とのつながりを実感することができる。

 

■審査委員からの評価コメント

 

○ 中学生が、家の模型作り、プラスチック実験、消化吸収の化学実験を通して、これに関わる住宅メーカーに勤める技術者の職業が住宅建設といった社会に役立っているということ、技術者の有する知識や技術の専門性が活かされていることが理解できる。

○ 住まいやプラスチックなど身近なものを通じて、学校での学びと社会のつながりを感じるとともに、最先端技術に触れることで、理科への興味・関心を高めてもらい、将来を担う理工系人材の育成に資する取り組みとなっている。

○ 企業特性を生かした3 種類のプログラムを準備し、教科及び言語活動との関連にも配慮がみられる点、学校からの要望にも柔軟に対応し得る点、社内参画者へのフィードバックを継続的に行っている点、PDCA サイクルによる恒常的な改善を図っている点など、総合的にみて高く評価できる。

○ グループでの実験を通じて、観察力と仮説の設定、論理的思考力、協働力という社会で求められる能力養成に繋がる。化学への関心を促し、理科系人材(研究者・技術者)の育成に繋がることも期待できる。

○ 企業の特性を活かした専門性の高い理科教育が展開され、生徒や教職員が思考を深めていく中から、「SHINKA(=進化、新化、深化)」という視点でのキャリア教育が実践されている。プログラムを通して、キャリア教育の基本的な意識とともに、思考力、判断力、表現力をはぐくむ教育活動となっている。

 

出典:第6回キャリア教育アワード事例集

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