第5回キャリア教育推進連携表彰

【奨励賞】

団体名

東大阪ええとこスクラム協議会

■活動の内容(概要)

<「町の会社にアイデアを提案してみよう 大人体験!」の様子>
<「町の会社にアイデアを提案してみよう 大人体験!」の様子>

東大阪ええとこスクラム協議会は、子供たちが東大阪を大切に思う心「地尊感情」 を育むことを目的として、「ええひと」「ええモノ」「ええこと」がスクラムを組み、 集積するものづくり中小企業の後継者不足の解決を図りつつ、地域資源を活用したモデルとなるキャリア教育プログラムの普及や、教職員向けのフィールドワーク研修を 行うなど市内全域でキャリア教育を推進している。

 

■受賞理由

・行政主体のプログラムであるが、手作り感の溢れた取組である。子供はもとより、教職員が地域の企業を知るきっかけになっている。

・市の課題と実施している内容がとても明確。校種の幅広さや、教員まできちんと巻き込んだ取組となっている。

・「地尊感情」を育むことが、「自尊感情」の向上につながるというコンセプトが素晴らしい

・「ええとこ」「ええひと」「ええモノ」をキーワードに、キャリア教育による地域や地元産業界との連携を基盤とし、まちづくり・人づくりまで視野に入れた総合的な取組である。

・地域諸団体の協力体制も整いそれぞれのエッセンスを活かした学校支援ができている。ターゲットを小・中・高・大としているところも系統性に優れている。

 

■連携・協働している機関や団体、組織

【教育関係者(学校、教育委員会等の機関や団体)】

NPO法人JAE、東大阪市教育委員会

 

【行政や地域・社会、産業界等】

大阪府商工労働部中小企業支援室ものづくり課、東大阪市経済部モノづくり支援室、東大阪市経済部労働雇用政策室、東大阪ブランド推進機構、株式会社大阪工作所、NPO法人東大阪地域活性化支援機構

 

■活動開始の経緯

【活動開始時期】2013年~ 【継続年数】3年目

東大阪では、平成14年度より「次世代を担う子どもたちにものづくりの啓発を推進すること」を狙いとしたものづくり体験教室事業を開始し、地域のものづくり企業が小学生を対象とした出張授業を実施してきた。

 

また、地域の企業グループが、後継者不足を解消する目的で若い世代へのアプローチを開始。東大阪ブランド推進機構が主体となり、東大阪市民ふれあい祭りにおいてモノづくりの楽しさ・素晴らしさを伝えていくために子供向けのモノづくり体験などができる「モノづくりひろばHIGASHIOSAKA」を実施するなど、ものづくり企業へ触れる機会は増えていった。

 

しかし、個別的で単独の実施が多く、地域一体となったキャリア教育の推進をするため、平成23年度には東大阪市キャリア教育運営協議会を開催し、産学連携のあり方を議論。その後、東大阪の産業発展を見据えた包括的な人材育成支援を目的にした東大阪の産官学一体になった組織の設立を目指し検討を重ね、平成25年度文部科学省事「地域キャリア教育支援協議会設置促進事業」の公募を受け、NPO法人JAE・東大阪市教育委員会が実施主体となり、平成26年3月19日に「東大阪ええとこスクラム協議会」の設立に至った。

 

■「協力性」についての具体的な取組、工夫している点など

東大阪市教育委員会では、平成14年度よりものづくり体験教室事業を経済部及び地域の団体と連携をして実施。また、平成23年度には東大阪市キャリア教育運営協議会を開催し、産学連携の土台づくりを行ってきた。平成25年度に、市内で次世代育成に関わっている企業グループを交え本協議会設立準備のための意見交換を重ね、平成26年3月の設立を迎えた。

 

本協議会は、東大阪市教育委員会及びNPO法人JAEが事務局となり、次世代育成に関心が高い関係機関が参画し構成している。

・NPO法人JAE:平成17年度よりキャリア教育プログラムのコーディネートを手がける。平成24年キャリア教育優良団体表彰。

・大阪府商工労働部中小企業支援室ものづくり課:協議会のアドバイザーとして参画

・東大阪市経済部モノづくり支援室:工場見学及び職場体験協力事業所の紹介

・東大阪市経済部労働雇用政策室:工場見学及び職場体験協力事業所の共有

・東大阪ブランド推進機構:東大阪の優良中小企業を認定し発信。参加企業が中心となり「モノづくりひろばHIGASHIOSAKA」を企画運営

・株式会社大阪工作所:事業所代表

・NPO法人東大阪地域活性化支援機構:平成15年度よりものづくり体験教室のコーディネートを実施。

 

■「継続性」についての具体的な取組、工夫している点など

・定期的な事務局会議を中心に運営しているが、年1回総会を開催し、年度の総括と翌年度の計画を産官学の関係者に共有をしている。また、計画の有効性を高め、関係者とのコミュニケーションを図るために、年2回の幹事会を開催し、主要な関係者との意見交換を行う体制を整えている。

・具体的な実践内容に関しては、各関係先・連携先と振り返りを実施し、アンケート結果などを基に評価・分析し成果・課題の把握を行っている。それらを学校、企業にフィードバックし、次の実践の改善につなげている。

・また、今後事業を継続的・効果的に進められるように、協議会がコーディネートしてプログラムを実践する際には、教職員用の手引き(指導案・ワークシートなど)の作成、地域の事業所の情報を幅広く提示、周辺事業所へのプログラムの意義の周知を合わせて進めている。

・その他、教育委員会主催の研修会や集会との連携など、協議会の研修やプログラムの活動を推進する枠組みを固めつつある。

-東大阪市人権教育研究集会(人権教育とキャリア教育のつながり、幼稚園から高等学校までの系統的なキャリア教育の実践をねらいとした研修会)

-キャリア教育担当者研修会(学校園でキャリア教育を推進するための中心的な役割を果たす教職員の養成をねらいとした市立学校園悉皆の研修会)

 

■「実践性」についての具体的な取組、工夫している点など

(1)地域資源を活かした特色あるキャリア教育プログラムの実践

 

・「町の会社にアイデアを提案してみよう 大人体験!」

工場見学に協力的な事業所発掘に課題があるため、事業所側にメリットあるプログラム構築を行い、モデルプログラムとして実践した。 

児童が考えたアイデアを提案するプログラムで、自分で知る(気づく)→考える(考え合う)→伝える(伝え合う)→発表(地域&企業)のプロセスで構成している。

 

・子ども「ええとこ」会議

複数の学校の児童が一か所に集まり、共に仕事の面白さやむずかしさ、東大阪の良さ・期待されることを聞き、それをもとに話し合い活動をし、報告会を実施する。子供たちの地元を尊ぶ気持ちの醸成につなげるプログラム。教職員にも事前学習を行ってもらい、キャリア教育のプログラムの実践力の育成も狙っている。

 

<中小企業フィールドワーク研修」の様子>
<中小企業フィールドワーク研修」の様子>

 

(2)キャリア教育推進を担う教職員の育成

「中小企業フィールドワーク研修」

教職員向けの研修としてバスツアーを実施。地元の工科高校とものづくりの事業所を訪問。ものづくりの工程見学や大切にしている考え方を知ることにより、地域資源の価値発見や、小中学校での実践が、どう将来につながっていくかを考える機会としている。参加した教職員からは「もっとたくさんの学校や企業を知りたい」という声が多く前向きな姿勢を醸成している。

 

「発展性」についての具体的な取組、工夫している点など

(1)冊子の作成と配布

平成25年度に市内のキャリア教育モデルプログラムとキャリア教育推進に積極的なええひとを掲載した「ええとこスクラムブック」を製作、市内の小中学校と事業所に3、000部を配布し、認知度向上を図った。また、翌年度には、校園長会で協議会の概要とブックの活用方法を紹介した。

 

(2)モデルプログラムの設計

ええとこスクラム協議会では、「ええひと」「ええモノ」「ええこと」がスクラムを組んで、子供たちが東大阪を大切に思う心「地尊感情」を育むということを伝えている。企業からは趣旨に対して共感の声をもらっており、今秋に実施の『子ども「ええとこ」会議』では、東大阪の多くの企業に協力いただき、仕事について・東大阪のええとこについて児童向けに伝えてもらう予定となっている。

 

(3)キャリア教育の法制化を見通し小中高の教育課程におけるキャリア教育の体系的な実践に向けた支援

小学校・中学校・高等学校それぞれに応じた教育プログラム、及び評価の在り方の提案を進めている。

 

(4)メディアへのアピール

平成26年12月1日:東大阪新聞にて「東大阪独自のプログラム~小学生が町工場にアイデア提案~」との見出しで掲載された。

平成26年12月20日:毎日新聞にて「地元に愛着と誇りを~工場見学『売れる製品』考える」との見出しで掲載された。

 

■学校現場の評価・感想・コメント

「町の会社にアイデアを提案しよう!大人体験」

・プログラム中、子供たちが楽しそうに学習にのめりこんでいた。教員自身もプログラムを楽しめることができ、地域の良さを改めて発見することができた。

・アイデアを提案することは難しいかと思っていたが、子供たちからの驚きのアイデアがたくさん出てきて、非常に面白かった。

・21時間という非常に多くの時間を使って行った学習であったが、それだけの時間を使った価値がある学習であった。

・以前、職業講話を試みた時に、講話していただける方を探し、段取りをつけることは可能ではあるが、なかなか難しいと感じた。そのような意味で、協議会を通して地域のあるいは社会で活躍されている方々を幅広く紹介してもらえたのがよかった。

 

「中小企業フィールドワーク研修」

・地元にこんな素晴らしい高校があることがわかった。

・実習室の見学等は普段味わうことができない貴重な経験だった。

・始めて工科高校の見学ができ、子供たちの将来をしっかり見据えた取組みで素晴らしいと思いました。

・東大阪の企業を盛り上げていこうと様々な人たちが力を尽くされているのがわかりました。東大阪の良さを感じることができた1日でした。

 

直接連携・協働していない関係諸機関(行政・産業・地域団体等)からの評価・感想・コメントなど

平成26年ええとこスクラム協議会意見交換会での参加者からの意見

「地元企業と学校教育への連携の在り方~企業開拓について~」

・学校側は企業との連携をどうしたらいいか分からない場合が多い。

・より多くの企業に参画をしてもらうために、仕掛けをつくっていく必要がある。

・協議会を核にしてモデルとなるプログラムを今後展開していくのがよい。例えば「東大阪市小学生新聞社」を作り、新聞を作るために小学生が地域の企業に訪問。新聞の取材をすることを口実にして、地域の企業を巻き込んで工場見学、職場体験など一括してお願いできればよい。

・子供たちが地元の事業所に魅力を感じ、地元で働くことに対するイメージを持つことで次世代の育成支援を行い、製造業の後継者不足という産業界側の課題にも対応しようとしている点がよい。

 

平成25年設立準備会議での参加者からの意見

・より地域全体で取り組む必要があり、どのように市に掛け合っていくのがよいかを思案していた。

・これまで実施してきたプログラムを質・量共に充実するための取り組みが必要。

・東大阪ならではのキャリア教育を全体で議論し、形にする機会は非常に価値があるので、ぜひ推進してほしい。

 

出典:第5回キャリア教育推進連携表彰受賞者事例集

わくわくキャッチ!
社会人基礎力の育成の手引き
社会人基礎力の育成と評価

新着記事

「理工系人材育成に関する産学官円卓会議」レポート

文部科学省と経済産業省では、「理工系人材育成戦略」を踏まえ、産学官の対話の場として「理工系人材育成に関する産学官円卓会議」を設置しました(2015年5月~)。

留学経験が拓いた私のキャリア

吉岡利代氏(国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ)

中曽根康隆氏(国会議員秘書)

横山匡氏(アゴス・ジャパン代表取締役)

「社会人基礎力を育成する授業30選」実践事例集
◆社会人基礎力育成の効果的な取組のポイント
◆「授業30選」受賞大学事例
◆受講生のコメント  ほか