第5回キャリア教育推進連携表彰

【奨励賞】

団体名

那覇商工会議所青年部

■活動の内容(概要)

<授業の様子>
<授業の様子>

那覇商工会議所青年部は、企業及び経済団体に働きかけ、「学び」と「社会」のつながりをリアルに伝えることを目的として、小・中・高等学校において企業等と連携した『お仕事せんせいプロジェクト』を実施している。企業が自社の仕事と学校の教科・単元との関連や、社会への貢献について盛り込んだプログラムを作成し、それを授業で活用するなど学校の「教科・単元」と連携したキャリア教育を推進している。

 

■受賞理由

・企業発の課題意識から、教科の中に企業が参画し、10年後の社会人である子供たちを共に育てる担い手となっている。そのために授業・単元と企業の持つプログラムをつなげるプログラム開発を重視、コーディネート組織との円滑な連携が図られている。

・今後「ひらかれた教育課程」が展開される中、先駆的な取組として広く発信すべき好事例である。

・企業のキャリア教育活動を、学校の授業に組み込むことを強く意識している点を評価する。

・学校や地域の特性に合わせて、「学校の『教科・単元』と連携できるキャリア教育プログラム」の創出に焦点を当てており、作成された冊子の内容も極めて高い水準にある。

・沖縄という地域の抱える課題に対し、キャリア教育という視点により、「学び」と「社会」を繋げるための本音の活動が展開されている。

 

■連携・協働している機関や団体、組織

【教育関係者(学校、教育委員会等の機関や団体)】

沖縄県教育委員会、那覇市教育委員会、琉球大学

 

【行政や地域・社会、産業界等】

沖縄県商工労働部雇用政策課、那覇青年会議所、なはグッジョブ連携協議会、NPO法人沖縄キャリア教育学校支援ネットワーク、一般社団法人キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会

 

■活動開始の経緯

【活動開始時期】2012年~ 【継続年数】4年目

地域の発展なくして企業の発展なし

キャリア教育を通して産業界にできることを考える

『地域の発展なくして企業の発展なし!~キャリア教育を通して産業界にできることを考える~』をテーマに、平成24年度(平成24年4月~平成25年3月)から、那覇商工会議所青年部のキャリア教育に関わる活動が始まりました。当団体は、地域社会の健全な発展を図る那覇商工会議所の一翼を担う下部組織として35年の歴史を持つ青年経済団体であり、現在約160名の会員数を誇る組織へと成長している。しかし、当団体の会員企業を含む沖縄の企業は中小零細企業がほとんどであり、若年者の就業の課題、早期離職等、若手従業員の確保と育成は企業にとっても重要な問題となっている。一方において、若年者の就職率の低下要因の一つでもある、公務員・大企業志向が未だに強く根付いており、若手人材の確保を強く願う地元中小企業の魅力が伝わっていないというミスマッチも早急に解決しなければならない課題である。そこで、これからの沖縄そして日本の未来を担う大切な人材を、学校に預けているだけではなく、産業界側にもできることはないかという課題意識を持って、キャリア教育への積極的な取り組みを推し進めている。

 

■「協力性」についての具体的な取組、工夫している点など

事業開始(2012年)当時から、沖縄県教育委員会・那覇市教育委員会、また沖縄県においては雇用施策の面から数多くのキャリア教育事業を推進する沖縄県商工労働部雇用政策課等との協議会を設け、学校における子供の現状や課題、教育委員会や現場が目指したいビジョン、学校や教員にとって活用しやすい支援内容やツールに至るまでの細かい意見交換を重ねている。また、上記行政等との連携において定期的に学校現場の先生方への発信・情報交換の場を設け、現場におけるリアルなニーズを取組に反映できるよう留意している。

<2012年度>

・那覇市教育長(当時)をゲストに迎えての勉強会「我々企業にできること」

・文部科学省長田徹氏を迎えての円卓会議「地域と学校の連携で目指すこと」

<2013年度>

・産学官で構成する協議会を設置(年3回の意見交換)

・教職員・学生の意見を聞くためのワールドカフェの開催

<2014年>

・産学官で構成する協議会を設置(2年目/年3回の意見交換)

・離島の小中学校への視察・ニーズのヒアリング

<2015年>

・産学官で構成する協議会を設置(3年目/年2回の意見交換)

・那覇市教育委員会主催キャリア教育担当教員研修にてプレゼン・情報交換

 

■「継続性」についての具体的な取組、工夫している点など

本取組については、2012年開始当時から、初年度は「ニーズの洗い出し」、2年目には「授業プログラムやワークショップ等の開発」、3年目には「実践と検証」、そして今年度4年目は「体制の構築と取組の拡大」というように中長期的な視点で計画的に取り組み、その段階を産学官の有識者も含む協議会において共有し、毎年数回行う協議会にて事業の評価・検証・内容改善を行っている。

 

また、今年度は次年度以降の自立的組織づくりに着手。那覇商工会議所だけでなく他の経済団体と協働で事業推進できる組織とするため経済団体部会にて協議を開始、次年度5年目を迎えるにあたり更なる中期計画策定に取り掛かっている。

 

■「実践性」についての具体的な取組、工夫している点など

本取組において最も工夫しているのは、学校の「教科・単元」と連携できるキャリア教育プログラムを作成しているという点である。キャリア教育を実施する際に学校現場では、どんなに良いプログラムでも実施する時間の確保が難しいという点が課題になることが多い。その点を考慮し、以下の工夫を行った。

(1)1コマからでも取り組める授業プログラム(すべて1〜2コマに対応する)

(2)学年や学校全体での取り組みが難しくても、先生ひとりの希望でも実施が可能

(3)教科単元と合わせることで発達段階にあったプログラム

(4)沖縄県では重点課題である学力向上にも寄与できる取組となっている

 

<作成した授業プログラム例(一部)>

●高江洲工機(土木建築)―『巨大重機を動かす“小さな力”の謎』

対応教科:理科 単元:水圧・油圧

内容:巨大な重機が油圧(パスカルの原理)で動くことを伝え、理科(物理)の知識が土木建築業にも活かされていることを気付かせる

●Bar18(飲食業バー)―『バーカウンターを通して見る“世界”』

対応教科:社会科(地理・歴史)

内容:バーテンダーが語る薀蓄はまさに世界の国々の地理や歴史についての知識の統合。バーテンダーの“日々勉強”の接客魂(職業観)と共に地理歴史の面白さを伝える。

 

「発展性」についての具体的な取組、工夫している点など

<「ワークショップ」の様子>
<「ワークショップ」の様子>

教育参画の経験がない企業でも授業づくりができるよう「自社オリジナルキャリア教育プログラムワークショップ」を開発。キャリア教育の基礎的な理解、キャリア教育と学力向上の関係性、教科・単元の考え方、指導案の作成方法などを学びながら授業づくりができるように工夫。

 

また、2014年度からは協議会に「経済団体部会」を設置し県内の経済団体との連携を開始し参画企業数を沖縄県内全域に増やせるよう体制構築。加えて、毎年1回『沖縄キャリア教育経済団体サミット』を開催し、より強い連携と企業や経済団体の教育参画への意識啓発を行っている。

 

■学校現場の評価・ 感想・コメント

●座間味小中学校 (藪周二前校長)

はじめにこの取組のお話を伺った時「我が校の子供たちは、離島の学校で本当に限られた職業しか見たり聞いたりしたことがない。何か刺激になるだろう」と、実はそれくらいの軽い期待でお願いをしました。しかし実際に授業を見させて頂いて驚きました。話が本当に上手だし、実際に皆さんが持っているネタを子供たちに調理しながら出しているところは教職員にも見てもらい盗んでもらいたいと思うくらい子供たちに訴える力があった。それは一つに「本物」であること。本物の人が話されることは全く違う。皆さんやりがいをもってやってらっしゃる。そして自信を持ってお話なさっている。そういうものが子供たちに、そして教職員にも伝わるものがある。継続的に子供たちの未来を描ける連携をお願いしたい取組である。

 

関係諸機関(行政・産業・地域団体等)からの評価・感想・コメントなど

●那覇市教育委員会

当初は、なぜ企業がここまで熱心に取り組んでくれるのか、半信半疑の部分もあった。しかしながら、本取組の会議に参加していく中で、企業の人材不足の深刻さと、人材育成に向けて長期的な視点で取り組んでいかなければならないことについて認識することができた。お互いの立場や状況を理解しあいながら、教育委員会としても子供たちが「生きる力」を身につけ、社会人として自立していくことが出来るように、外部機関とも継続的に連携をとっていきたいと考えている。

 

●沖縄県商工労働部雇用政策課

沖縄県では平成19年度から「沖縄県産業・雇用拡大県民運動(みんなでグッジョブ運動)」を展開し、雇用情勢の全国並改善を目指し取り組んでいる。特に雇用環境の厳しい若年者等の就業意識の向上の取り組みとして、職場体験等産学官・地域連携によるキャリア教育の推進に力を入れているところである。このような中、那覇商工会議所青年部の活動は、企業・業界が抱える若手人材の確保と育成という課題を自らの力で改善していくだけでなく、長期的な視点で地域や社会に貢献する取組であると考えている。

 

出典:第5回キャリア教育推進連携表彰受賞者事例集

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