高校事例2

中高一貫校の特性を生かした、6年間の総合学習「Kobeプロジェクト」

神戸大学附属中等教育学校 高木優先生

教育目標は「国際的視野を持ち未来を切り拓くグローバルキャリア人の育成」

神戸大学附属中等教育学校は、神戸大学発達科学部附属住吉中学校と神戸大学発達科学部附属明石中学校を母体に、後期課程を開設して2009年に発足した中高一貫校です。2013年現在は、5年生(高2)までの計636名が在籍しています。

 

教育目標として「国際的視野を持ち未来を切り拓くグローバルキャリア人の育成」を掲げ、単に英語を話せるというだけではなく、未知の困難に出会ったときに自分なりに解決できる力を身につけることをめざしています。この目標を実現するために、総合的な学習の時間を活用した「Kobeポート・インテリジェンス・プロジェクト(以下、Kobeプロジェクト)」を設け、キャリア教育や課題学習に取り組んでいます。

 

自分で受け入れ先を探す職業インタビューやインターンシップ。3年からは大学での学びを深めるプログラムも

キャリア学習としては、1年生(中1)で職業調べ、2年生では職業インタビュー、3年生ではインターンシップを行い、発達段階に応じて職業観を育てています。

 

1年生の職業調べでは、神戸市が認定している技術者「神戸マイスター」に来校いただき、仕事の内容や、「今のうちにこういうことを考えておくと仕事についたときに役に立ちます」といったお話を伺います。昨年度は調理師や美容師、型枠工など約10種類の職業の方をお招きし、なかには一緒にケーキを作ったりする実習形式のクラスもありました。

 

2年生の職業インタビューでは、自分が興味のある仕事に関係する企業や団体を1日訪問し、仕事の見学とインタビューを行います。訪問を依頼するのは生徒自身で、10月頃から訪問先を探して依頼を始め、実際に訪問するのは、3年生になる前の春休みか3年生の夏休みです。依頼は手紙を通じて行い、職業インタビューの目的と、なぜその仕事に興味をもち、何を知りたいかを綴ります。同時に保護者からの手紙と、学校からの趣旨説明と依頼の手紙、受け入れの可否を聞く返信用葉書を同封しています。訪問を断られた場合は、再び企業や団体を探して依頼の手紙を出すので、このやりとり自体が生徒の思考を深める機会になっています。

 

3年生では、5日間にわたるインターンシップを11月に行っています。職業インタビューと同様、受け入れ先は生徒自身が探して依頼します。

 

このような形で職業観を育てながら、3年生からは大学での学問について知識を深めるプログラムも始めます。6月には3・4年生を対象に「神戸大学day」を開催し、神戸大学の11学部12学科(医学部は医学科と保健学科)の先生方を迎え、各学部での学びを話していただきます。生徒が聴講できるのは1つですが、2学年合同の行事なので、翌年は違う学部の話を聞くこともできます。さらに5年生からは、学問により深く接するために、神戸大学の教員を中心に「分野別リレー講義」を始めようと考えています。ここでは話を聞くだけではなく、生徒の側からも質問ができるように、双方向の形でブースを設ける予定です。

 

研究テーマは生徒自身が設定、最終的にはプレゼン発表と18000字の論文

「Kobeプロジェクト」のメインの柱は、1・2年生の「聞き方・話し方訓練」から始まり、3・4年生の「課題学習」、5・6年生の「卒業研究」につながる流れです。


3・4年生の「課題学習」は2学年合同で、金曜日の5・6時間目に行い、全体を8領域に分けて担当教員をつけています。今年からは1年間を半期ずつ2クールに分けて、1クールを7回で構成する形にしました。クールごとに異なる領域に取り組むので、2年間で4領域を渡り歩くことになります。各領域に合った研究テーマを生徒自身で設定するのですが、たとえば「なぜペンギンは羽を失ったのか」「効果的な授業方法とは」「表現力の豊かなバレエ方法-海外と日本の比較」「1円玉は本当に必要なのか」等、バラエティに富んだテーマが出ています。


5・6年生の「卒業研究」は毎週水曜日の7時間目に行い、生徒は2年間で1つの研究に取り組みます。卒業研究には全教員が関わり、各教員が3〜4名の生徒を担当する形で進めています。


課題学習の発表会は、春学期の発表は9月に、秋学期の発表は2〜3月に実施します。発表は個人ごとに行い、昨年は全員がパワーポイントを使いました。1・2年生には発表会の様子を見られる時間を少し設け、将来への心構えをさせています。卒業研究の発表は、5年生が終わった時点で中間発表としてポスターセッションを行い、最終的にはプレゼンテーションソフトを使った発表と、18000字の論文を課す予定です。

 

取り組みの結果、言語能力やコミュニケーション能力が非常に発達

「Kobeプロジェクト」ではさらに、「グローバル学習」の柱も設け、1年生は神戸学、2年生は奈良と神戸の比較、3年生は沖縄と神戸の比較といったように、さまざまな地域でのフィールドワークを行っています。グローバル学習においても各学年で発表の場があり、キャリア学習と同様、調べる→体験する→発表するというサイクルを繰り返しています。また、本校では教科の授業自体が、教師の話を聞いて黙々とノートを取るだけにとどまらない形態のものが多く、生徒が発表する場がナチュラルに設けられています。


中高一貫校ですので、大掛かりなプレゼン練習は中学1〜3年生の間に済ませ、教科の学習に時間を割く高校では、体験後の発表はレポートが中心になっています。


こういった取り組みを通して、本校の生徒は平均的に、言語能力やコミュニケーション能力が非常に発達していると感じます。学習面でいえばTOEIC満点や英検1級合格の子もいますし、各種の大会やコンクールで受賞している生徒もいます。たとえば全国英語弁論大会への出場者は2名、英語ディベートコンテストは兵庫県第3位。ディベートコンテストの上位2チームは高3生が主力でしたが、本校のチームは高1生です。そのほか兵庫県エッセイコンテストで優秀賞が2名、数学・理科甲子園は兵庫県内第3位、新聞コンクールで優秀賞受賞、科学地理オリンピック日本選手権予選銅メダル、などの成果をあげています。

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