コラム

横須賀をキャリア教育推進連携表彰に導いたスーパーコーディネーター その秘訣と教育を語る 第5回

細野裕氏

「よこすかキャリア教育推進事業事務局」キャリア教育コーディネーター(平成21.22年度)


 

第5回 各中学校の取り組み(2)「12万じゃ暮らせない、じゃあ16万円生活」

給与明細から、社会の仕組みを知り、働く権利や自分の社会人としての生活を考える

職場体験、総合的な学習の時間、キャリア教育が、ばらばらにあって、どれもやらなければならない。もちろん、教科の指導もある。となると、教師は徒労感があります。しかし、そうではないのです。学習指導要領には、キャリア教育を、学校の全領域で、全教育活動で、と書いてあるでしょう。そして体験的なことを大事にしてくださいと書いてあります。

 

そうすると、キャリア教育は、その学校の教育課程全部で、学校の教育活動の総体で進めるんだとなります。ところが、今まで紙の上で別々に作ってきたキャリア教育、総合的な学習の時間、教科の年間計画が、実は教師もよくわかっていなかった。その三領域が関連づいているとは思っていなかったのです。今までの徒労感というのは、これもやらなきゃ、あれもやらなきゃと思っていたし、なにより別々の領域だと思っていたからです。

 

しかし、関連しているということに教師が気づいていくわけです。まず教科がある。一方、「体験を通じて」というのがある。そうしたらこのキャリア教育の、総合的な学習の時間を使ってやっている取り組みは、教科と行ったり来たりできる可能性のあるかもしれないと。ここに気づいていけばいいプログラムになります。そして地域性を盛り込めばもっといいものになるでしょう。

 

前回は、サツマイモを使った事例を紹介しましたが、町の中ではできません。だったら給料明細を材料にしたら、と考えた教師がいました。給料明細を見ると、税金、年金、保険、住居手当とある。これって働くことそのものでしょ、と。これに気づいて取り組んでいる学校が公郷中です。素晴らしいですね。

 

それが、「16万円生活」プログラム。給与明細を通して、税金・年金などの仕組みを学ぶことで社会を知り、最低賃金や労働基準法など「働く者と働かせる者の関係」についても学び、働く者の権利と責任や自らの社会人としての生活を考えるプログラムです。MTTとして社会労務士さん10人ぐらいに来てもらいました。

 

これは、教師の発案でしたが、最初は、「12万円生活」だったんです。でも社会保険労務士に、「12万円じゃ暮らせない」と言われて、教師と話し合いました。だから教師も私も気づくわけです、16万円がリアリティのある最低線だと。この給料明細から子ども達が勉強していくわけです。これは優れています。考えた教師もとても面白がっていますから、子どももとても面白ろがります。

 

キャリア教育の題材は、暮らしそのもの、生きることそのものですから、真面目に生活している大人ならば、みんな子ども達の先生なのです。そういうことに気づかせていく。そして、自分はどういう人生を送って生き抜いていくのか、考えさせる。それがキャリア教育なのです。

 

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