コラム

横須賀をキャリア教育推進連携表彰に導いたスーパーコーディネーター その秘訣と教育を語る 第6回

細野裕氏

「よこすかキャリア教育推進事業事務局」キャリア教育コーディネーター(平成21.22年度)


 

第6回 MTTマイタウンティーチャーという人材の発掘

生徒に<働く・暮らす・生きる>を感じさせ、考えさせるには、自らが考え、暮らし、生きている大人に現れてもらわないといけない。そうでないと伝わるものが伝わりません。

 

私がコーディネーターとして着任したときは、既に2つの中学校が少しのプログラムを展開しつつありました。集められたMTT(マイタウンティーチャー)。優れたMTTが、上司から仕事を外れて中学生のために来ているのだから、それなりのミッションを感じているのですが、情報発信の弱さを感じました。何か役に立ちたいとMTTの顔に描いてあった。だから、私は、初めに、この横須賀のプログラムの優れていること、日本中でもこの仕掛けはまだ存在していないことをはっきりと伝えました。そして、今日、MTT(この時点では、MTTという考え方と言葉に込めた思いと方向は浸透していなかった)として参加してくださったことが、いかに貴重でいかに素晴らしいかを語りました。

 

プログラム終了後の<振り返り>のミーティング、これがとても大切なことです。MTTは、何がどのように役立ったのか、よくわからないでいます。生徒の質問に答えることができなかった、どう答えれば生徒が納得してくれた、感じてくれたのか等々、不安でいっぱいの様子でした。コーデイネーターの私は、生徒の気持ち、生徒が聞きたかったこと、そして、それはキャリア教育の意図するもののどこに位置づいているのか、一人一人のMTTに説明し、方向を示唆しました。MTTは、それぞれが若い方だから、判断を求めている。自分が役に立ったのか、余分なことを言ってしまったのか。振り返りが終了すると、そうか、これでいいんだと、安心した顔が広がります。コーディネーターの役割は、そういうことです。

 

中学生と付き合うことが、まだよくわからないMTTが、「自分の話したことに真剣に耳を傾けてくれる、こんなこと人生で初めて」と感動する。責任の重さを感じる。次にMTTとして参加するまでには、もう一度復習、予習してくると言います。自分の仕事をまとめて他人に話す機会はない。自分の家族にも、恋人にも、自分がどうやって稼いでいるかなんて生真面目に話したことがない。そんな仕事人である方たちが、真面目に話し、生真面目に考えるプロセスを通し、中学生に向かって自分を問う瞬間からMTTになっていくのです。

 

MTTのSさん、プログラムが終了してから、言い足りなかったことや感動したことを手紙に書いたので、自分の関わったNくんに渡してほしいと、コーディネーターの私に言ってきました。中学生から返事が戻ってきました。これが2~3回続き、Sさんは、再びこの生徒のいる中学校のプログラムに参加。そして、その生徒と交流を距離を少し置きながら続けました。Sさんは、その生徒とのやり取りで、自分の職場の部下とのコミュニケーションを高めていくあり方に気が付くのでした。人が聞きたいこと、教えてもらいたいことに応えるセンスが自分に活きたと言います。

 

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