平成25年度キャリア教育推進連携シンポジウム

「第4回キャリア教育アワード」最優秀賞受賞企業・団体による事例発表

1.ソニー生命保険株式会社「ライフプランニング授業」

発表者:ライフプランナー営業本部支社営業教育部 担当課長 濱崎祐一氏

濱崎祐一氏
濱崎祐一氏

■ライフイベントと収入のシミュレーションで、将来を真剣に考える機会

 

ソニー生命は、どう生きるかというライフプランニングの考え方に立ち、皆様に生命保険を提供しています。今から8年前、長崎県五島列島で、ライフプランニングを体験された高校の先生から、子ども達にも体験させてやりたいと言われたことがきっかけで、このプログラム作りが始まりました。若者に夢や目標を持って生きることの大切さ、それを実現するために努力することの大切さを伝えたいという思いで活動をしています。

 

ライフプランニング授業の特徴の1つは、生徒の全員参加。人生について生徒自身が考えていくことを大切にしています。6-8名のグループでシミュレーションを行うグループワーク形式、または、2,3人でディスカッションをしながら教室全体で1つのシミュレーションをしていく大教室形式で実施しています。

 

具体的には、子どもがまだ小さい仮想の家族を想定して、その将来を考える2時間のプログラムで、1時間目は家族のイベントプランニングを行います。例えばフルタイムなのか否かといった働き方や、どういう教育を受けさせたいのかといった教育プラン。どんな場所にどんなふうに住みたいのか、賃貸なのか購入なのかといった住宅プランなどを皆で決めていきます。2時間目は1時間目に選択したライフプランに沿ってその費用をシミュレーションして収入と支出のバランスをグラフ上で確認していきます。

 

一例ですが、1時間目に人生の年表をイメージするライフプランを自由に立てていきます。お金のことは一旦横に置き、その家族の人生がハッピーになること、楽しくなることを考えます。例えば4LDKの一戸建てを建てる、スポーツカーに乗る、ハワイ旅行に行くなど、どんなプランでも否定はしません。いろいろな考え方を積極的に出すことに重点を置きます。子ども達は積極的になります。

2時間目はそのシミュレーション結果をグラフで見ます。赤いラインが収入の変化、色のついた棒グラフは年度毎の支出を表します。この場合途中からかなり赤字になっているのが分かります。子ども達はそれまでの楽しさから一転、人生の厳しさを見せつけられ、重苦しい雰囲気が教室に漂います。このままだと夢のない授業に終わってしまいますが、ライフプランニングの良いところは努力や工夫によって、将来の赤字のリスクを減らすことができることです。そこで、子ども達に改善策を考えてもらいます。しかし子ども達は反省モードに入っていますから、家を買うのをやめる、旅行に行くのをやめる、大学行くのをやめる、子どもの数を減らす等々、減らす、やめるのオンパレードで消極的な意見が目立ちます。

そこでライフプランナーは問いかけます。「実現したいものをそんなに簡単に諦めて良いのか」。少し改善のヒントを示すと子ども達から積極的な解決策が出てきます。本当に必要なものと無駄な物を区別したり、仕事に就いて積極的に収入を得ようと考えます。収入と支出のバランスが改善すると、子ども達はその結果に達成感や安心感を強く感じるようです。

 

実際の生徒の感想です。

「ライフプランニングの授業を受けて人生の計画を立ててみようと思いました」「毎日を大切に過ごしていこうと思いました」。日々を大切にしたいという感想です。

 

「自分の将来について真剣に向き合うことができました。私のことだから多分ニートしているかもと思いましたが、この授業を通してちゃんとした職業に就きたいと思いました」。子どもの職業観に変化が見られます。

 

「しっかり計画を立てて僕に貯金をしてくれているお母さんとお父さんに本当に感謝したいです」。保護者への感謝の気持ちも出てきました。

 

ライフプランニング授業の終了後は、中学生でも高校生でも大学生でもこのような感想が多く見られます。

 

■ニートやカードローン対策。要望に応じたテーマも

 

このプログラムは、ここ数年は年100校程度で実施してきました。対象は高校が全体の7割ですが、近年は中学校や大学での実施が増加傾向にあります。以前は職業系の学校からの依頼が多かったのですが、最近は進学校からも依頼をいただいています。

 

このプログラムを提供するにあたっては、学校との連携が重要だと考えています。したがって、実施までに打ち合わせを何回もしたり、事前にこの授業を先生方に深くご理解いただきながら、時には学校側の要望に応えてプログラムをオーダーメードで実施します。

 

例えば、ニートやフリーターという課題に対してフリーターとしての収入をベースにしたシミュレーションを行ったり、奨学金の返済問題への提案として、実際の返済計画をシミュレーションに組み込んだり、また、カードローンなど安易にお金を借りる怖さを教えたり。さらに、他業界を経験しキャリアチェンジしてライフプランナーになっていますので、様々な仕事のリアルを語ることもできます。

 

そして、なにより、他業界から転身し、サラリーマンではなく完全業績型という厳しい社会で研鑽し自分の夢に向かっていくライフプランナーだからこそ伝えられるメッセージがあると考えています。それは、ゴールは1つではない、夢や目標は進化していくのだ。失敗は決して怖くない、何度でもチャレンジできる。そう伝えられると考えています。

 

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