大学におけるグローバル人材育成グッドプラクティス vol.8

伝統ある米国型リベラルアーツ教育にならい、教養教育重視で「地球市民」を育成

国際基督教大学(ICU: International Christian University)


「教養教育」を重視し、学問分野間の壁のないメジャー制を導入

 

民主主義と平和の担い手となる人材、国を超えて「地球益」(global interest)を考え、地球社会の未来を見据えて様々な課題に取り組む「地球市民」の育成を目標とするICU。

 

日本で初めて校名に「国際」を冠した大学で、学問分野の垣根を越えた「教養教育」を重視する米国型のリベラルアーツ教育を目指し、教養学部のみの1学部制をとってきました。メジャー制を導入し、約30のメジャー(専修分野)から2年次の終わりに1~2分野の専修を決定する(レイター・スペシャリゼーション)という体制で、学問分野間の壁のない教育体制となっています。

 

また、外国人学生と日本人学生の分け隔てない教育とキャンパスライフも特徴で、カリキュラムにおいて、4月入学生が履修するELA(リベラルアーツ英語プログラム)と9月入学生が履修するJLP(日本語教育プログラム)以外は区別がなく、自然な交流を図っています。

 

 

1~2年次に英語力をつける集中プログラム

 

ICUでは日英両語を公用語とする「バイリンガリズム」が採られており、学位授与も日英両語の能力を身につけることが要件となっています。

 

このため、1~2年次に集中的なリベラルアーツ英語プログラム(ELA)を履修します。このプログラムは、学生の英語力を向上させると同時に、ICUで効果的に学ぶための思考力と技術を養うプログラムです。すべて英語で、約20人の少人数のクラスで行われます。

 

「異文化間コミュニケーション」や「生命倫理」などのテーマに関連した文献を読み、議論し、小論文を書きながら、創造的、批判的、主体的に考える力を身につけていきます。

 

入学の時点で英語の習熟度が高い学生は、短期間で集中的に学ぶことができますし、じっくり英語力を伸ばしたい学生には十分な指導と演習の機会が用意されています。プログラムの最終段階では、全員が、自分が関心のあるテーマで英語で論文を書き、3年次からの研究や論文執筆への基礎とします。 

 

リベラルアーツ英語プログラム(ELA)のしくみ

対話中心、グループワーク重視の少人数教育

 

対話中心の少人数教育は、ICUの特徴。まず1~2年次のELAは20人程度の小クラスで行われるため、発言し参加する態度は自然に形成されます。

 

専門教育科目でも、殆どのクラスでグループワークが採り入れられています。4~5人から成るグループは、メンバーの学年やメジャーが多様になるように、また留学生や帰国生も混在するように構成されるので、同じ課題に取り組むにも多様な視点、方法論、経験が反映されるようになります。

 

 

充実した留学生派遣制度

 

ICUと海外の大学との協定に基づく「交換留学プログラム」(21か国66大学)、アメリカの非営利教育団体が世界各地の大学等と連携実施しているプログラムへの参加による「海外留学プログラム」(11か国)、夏休みを利用して海外でELAの単位の一部を取得する「海外英語研修プログラム」など、多様な制度の下に多くの留学機会が提供されています。

 

交換プロプラムの派遣定員枠は約160名で、1学年620名に対し約4人に1 人の枠があります。応募後、選抜を経て100名前後の学生が例年派遣されています。ICUでは就職等への懸念から留学に対し消極的になるといった傾向は見られないようです。

 

寮生活による外国人留学生と日本人学生の交流

 

ICUは、2つの男子寮、3つの女子寮、4つの男女共住寮を全てキャンパス内に持っており、その定員は学生総数の25%にも上ります。外国人留学生専用の寮はなく、外国人留学生と日本人学生が同じ寮に共住することが原則となっています。こうした学生寮で、外国人留学生と日本人学生が分け隔て無く生活し、お互いに交流を図っています。

 

 

グローバル企業への就職者も多い

 

ICU生は、国際化やIT化による変化の大きい社会にも適応できる人材として期待されています。就職率は例年ほぼ100%で、就職先は多岐にわたりますが、グローバル企業の就職者が多く、海外で勤務している卒業生が少なくありません。大学院進学率も例年20%以上と高く、海外の大学院を目指す学生もいます。

 

 

基本情報

○所在地 東京都三鷹市
○設立年 1953年4月
○学部学科 教養学部 アーツ・サイエンス学科

 

〇数値で見る大学の特徴(2013年10月現在)

 

学生数

外国人教員比率

英語(語学)授業の

1クラス当たりの人数

英語による

専門科目率

大学全体

2738

32

20

26

 
 

○留学データ など
外国人留学生は全学合計で232名、国際交流プログラムの派遣学生数は399名(2013年現在)。
出典:http://www.icu.ac.jp/img/2012/06/1310_students.pdf
http://www.icu.ac.jp/img/2012/06/1310_iee.pdf

関連サイト

ICU教養学部4年間の学び
http://www.icu.ac.jp/liberalarts/educational/educationa.html
リベラルアーツ英語プログラム(ELA)
http://www.icu.ac.jp/liberalarts/collegewide/ela.html
交換留学/海外留学プログラム
http://subsite.icu.ac.jp/ieeo/exchange.html
海外英語研修(SEA)プログラム
http://subsite.icu.ac.jp/ieeo/sea.html
夏期留学プログラム
http://subsite.icu.ac.jp/ieeo/summerprogram.html
留学・国際教育交流
http://www.icu.ac.jp/liberalarts/ieep.html

 

他大学と比較して<経済産業省調査より>

異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ養成の制度・環境指標が高い

 

経済産業省では、平成23 年度に国内約200大学を対象に、大学のグローバル人材育成に関する取り組みを、下記の3つの能力育成の観点で調査(「大学におけるグローバル人材育成に係る指標調査」)。
【要素Ⅰ】語学力・コミュニケーション力

【要素Ⅱ】主体性・積極性、チャレンジ精神・協調性・多様性、責任感・使命感
【要素Ⅲ】異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ養成

 

国際基督教大学は、大学アンケート回答学部の平均と比べ、要素Ⅱのプログラム指標を除く、全ての指標において相対的に高い値を示しています。とくに要素Ⅲの制度・環境指標が他大学に比べて高い値を示しました。

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