「社会人基礎力を育成する授業30選」実践事例集

政府の日本再興戦略や教育再生実行会議では、大学での「社会人基礎力」等の育成の必要性が謳われています。河合塾では、大学の教育の一層の盛り立ての意味でも、その2006年の策定以来、育成・評価の手法開発、普及の取り組みを、経済産業省の事業に参画しつつ、行って参りました。

2014年3月、経済産業省では、より一層の「社会人基礎力」の育成を推進する観点から、効果的な育成手法を実践している大学のグッドプラクティスを広く共有していくために、「社会人基礎力を育成する授業30選」を選定しました。


なお、30選選定に当たっては、事務局として㈱リベルタス・コンサルティングがその運営を行い、河合塾ではそのサポートを行いました。

【CONTENTS】

はじめに ~『社会人基礎力』の目指すもの~

委員長からのメッセージ

 社会人基礎力育成の好事例の普及に関する検討委員会

 委員長 慶応義塾大学 総合政策学部教授 花田光世

I.  社会人基礎力育成の効果的な取組のポイント
◆II.「社会人基礎力を育成する授業30選」

 受賞団体の事例紹介(下表から)
III. 受講生のコメント

 ・跡見学園女子大学

 ・東洋大学

 ・愛知学泉大学


社会人基礎力を育成する授業30選 受賞団体一覧

大学名 学部・学科名 等 取組の概要
愛知学泉大学 家政学部家政学科
管理栄養士専攻
初年次教育として1年前期は、社会人基礎力の理解と意識付けを「管理栄養士への道」で、2年次通年で社会人基礎力を原動力とした知識・スキルの蓄積法を「栄養教育論・栄養教育論実習」で実施し、3年生で実施される臨地実習へと繋ぐ授業展開をしている。
跡見学園女子大学 マネジメント学部
マネジメント学科
(1)マネジメントの基礎・専門理論と関連知識を学び事例研究を行う。(2)年間50のプロジェクト活動(学内活性化、地域貢献、産学公連携事業等)に「PJチーム編成」で取組み、自らが問題の発見と設定を行い問題解決策を考え提示し行動する。(3)ゼミ生全員(50名)参画型とし、リーダー&フォロアーの役割を全員が経験する。
岩手県立大学 ソフトウェア
情報学部
学年混成チームによる問題発見・解決に取り組む演習。コンピュータを活用するプロジェクトの企画・提案書を作成し、最終回に全チームのポスター発表を行う。テーマは、チームごとに学生たちが自ら考え設定し解決方法をまとめる。また、企業連携により、知識およびマインドの伝達、評価による多様な価値観への気付きを与える。
大阪大学大学院 工学研究科
高度人材
育成センター
1.博士前期課程を対象に、産業界研究者を外部講師として招へいし、各学生の研究発表に対し、その社会的意義、価値などについて、コメント指導し、高度人材育成センター担当教員がこれを支援する。これを研究内容の発表にフィードバック・繰り返すことによりテーマを深く考察させ、プレゼン力の向上を図り、研究開発者としての社会での実力を養う。2.学部4年生を対象とし、上記と同様の趣旨と内容で実施する。
岡山理科大学 工学部工学プロジェクトコース 学科横断的な工学関連科目の修得、岡山県認定マイスターによるものづくりに必要な加工技術・知識の修得、実務経験者によるチームビルディング方式のプロジェクト主導型ものづくり教育を実践。
金沢大学/
共通教育機構
大学教育開発・
支援センター
(1)働く上で求められる能力は何かを考え、現状とのギャップを認識し、自己の能力を自律的に伸ばすための方策を考える。(2)学外での課題提案・解決型の就業体験や、教室での課題発見・解決型の協調学習を通して、社会で求められる汎用的能力を実践的に身につける。(3)現代の社会人として活躍する上で必要な知識と教養を習得する。
金沢工業大学 産学連携推進部
キャリア支援室
本インターンシップは、1事前学習、2就業体験、3事後学習の3フェーズから構成しており、1の事前学習には自己評価による目標設定、企業分析シートによる企業と自身の専門分野の関係性の理解、社会人マナー研修等の受講から成っている。3の事後学習では目標設定に対する振り返り、企業担当者からの評価から今後の修学への具体的な目標を設定する。
北九州市立大学 地域創生学群 1年次から3年次までの学生が、コースに応じた様々な地域における様々なカウンターパート団体が持っている課題に対して、地域の方々と共にその解決に取組む活動。学生チームは、課せられた実習内容に沿って、事前学習、実習計画の作成、実践活動、中間振り返り、実践活動、最終振り返り、報告というプロセスを繰り返すことで、実践力の養成に努めている。
九州産業大学 情報科学部
情報科学科
現役の情報技術者をインストラクタに迎えた、産学協同でのプロジェクト管理教育。システム開発プロジェクトを疑似体験させ、品質・納期・コストを意識したプロジェクト管理の実際およびコミュニケーションの重要性を理解させる。
京都光華女子大学
短期大学部
ライフデザイン
学科
授業計画の1~8回1講時までを「I」、8回2講時~15回を「II」とする。「I」では、プレゼンに慣れることに主眼を置く。「II」では、最終授業で開催される「プレゼン大会」で発表する企画を作成することに主眼を置く。最優秀プレゼンに選ばれた企画は提案チームが中心となり企画実現に向けて、その後も活動を続け、企業との連携を通して社会人基礎力を育成し、就職率、就職質の向上につなげる。
京都産業大学 キャリア形成支援教育科目(コーオプ教育領域)キャリア支援室 企業の若手社員と学生のハイブリッドによる人材育成プログラム。若手社員1人と学生3人がチームを形成し、社員が直面している業務上の課題の解決に向けて、調査や分析、ディスカッションや上司への中間プレゼンテーションなど検討を重ね、課題解決の方策を提案。
京都産業大学 キャリア形成支援教育科目(コーオプ教育領域)キャリア支援室 課題解決活動を通じて実社会で必要となる心構えや能力を身に付けるために設定された科目である。大学での学びと実社会での学びとを融合させながら、実践指向型の課題解決型学修にて、1年次から3年次まで体系的な能力伸長を図るものである。
工学院大学 グローバルエンジニアリング学部
機械創造工学科
本プログラムECPは,産業界で活躍している経験者の力を活用し、その時々の社会が必要とする人材、特に自分の頭で考え、その結果を行動に移すことができる実践力を備えたエンジニアを育成することを目的とした、プロジェクトベース産学連携型工学教育である。
埼玉女子短期大学 国際コミュニケーション学科 専門に学んでいる「エアラインビジネス」を基盤として航空会社が地方自治体と協働で実施している活性化プロジェクトに参画し、学生の目線から地域産物の有効活用や都市部での地域PR策を講じ、廃棄品を活用した商品開発と販売、絵本製作、その絵本を企業のサービス品として採用してもらうまでの活動を通じ、企業・行政のしくみや連携、思考力、企画力、実行力を醸成している。
産業能率大学 経営学部
現代ビジネス学科
1年生を対象に、ゼミ形式で社会人基礎力修得を目的にグループワークを中心の学習を進め、さらに大学行事への参加や企業との連携など、早い段階から組織行事参加の重要性と協調性を教授し、後期は大学祭での研究成果発表を行い、プレゼン能力育成を行う。また、社会人必須となる数的基礎力の強化をeラーニングで継続し行うほか、同大学総合研究所が社会人向けに開発した教育ソフトの導入など、独自の学習プログラムを導入している。
芝浦工業大学 システム理工学部/大学院理工学研究科
システム理工学専攻
5学科に跨ったプロジェクトベースラーニング(PBL)を、学部1年から大学院修士1年まで、7科目にわたり実施し、関連講義と連携させることで、分野を横断する問題解決能力、チームワーク、コミュニケーション能力を育成する。
城西大学 現代政策学科
社会経済システム学科
大学周辺の休耕地を活用するプロジェクトを企画・構築・運営するプログラム。学生は、地域課題の一つである「休耕地」を、地域の各主体(農家、行政、企業等)と連携しながら、活用するしくみを企画・構築し、運営する。
成城大学 共通教育研究センター 初年次キャリア科目「キャリア形成概論I」は、「自分と他者と社会を知る」をテーマに大人数でペア・グループワークを行っている。この科目でキャリア形成の基礎を学び、大学4年間を通して体系的に就業力・社会人基礎力の各力を育成していく。
創価大学 経済学部経済学科
西浦昭雄ゼミ
「先進国のみならず開発途上国でも活躍できる創造力をもった人材の育成」を掲げ、10年前より学生自身が社会の課題から「問い」を見つけ、調査と検証を重ねた上で解決策を提示するという学生中心PBL型学習を実践している。また、外部評価の一環として学外のプレゼンテーション大会に継続的に挑戦することで学生の意欲を高めている。
中央大学 理工学部
情報工学科
情報工学科学生に求められる7つのコンピテンシーを、画像・映像コンテンツを作成する半年にわたるチームプロジェクト(4名前後で構成するチーム単位で、与えられた課題に対して基礎実習、仕様作成、プログラム等構築、実行・評価、プレゼンテーション、レポート作成の過程を経るプロジェクト)によって獲得し、2年間4科目の連続履修で学生自身の宣言・実行・気付き・改善(PDCA)を促すことを目的とする。
電気通信大学 大学院情報理工学 研究科
共通教育部
本プログラムは、卒業所要単位126単位のうち、10単位ある倫理キャリア科目の必修科目であるキャリア教育演習とキャリア教育演習リーダーを中心とした一貫したキャリア教育である。学年横断教育とは1年生と3年生が同じ教室で学ぶ教育で、合わせて1471名(平成25年度)が、必修科目として36教室に分かれて受講している。
東京工業大学 工学部
機械宇宙学科
空き缶サイズの人工衛星モデルCANSATの設計・製作・実験を行う。米国の砂漠で開催されるロケット打上実験イベントでの実証実験を最終目標とし、要求される外部審査を突破し、ミッションを達成可能な、高性能・高信頼性な衛星モデルを製作する。
同志社大学 政策学部 「京都府」と連携して授業を行っており、京都府の政策の一つ「京都おもいやり駐車場利用証制度」を取り上げている。学生たちは、なぜそれが必要だったのか、どのように生まれたのか、いい政策なのになぜ普及していないのか、どうすればもっと府民に知ってもらえるか、などを、府の担当者とともに考え、解決策を検討し、実現可能性を探り、提言を行う中で、社会人として必要な視点と力を身につけていく。
東洋大学 グローバル・キャリア
教育センター
埼玉県の施策協力依頼を受け、埼玉県内の各企業の事業内容や働く人々を取材し、動画撮影を実施。撮影した動画をウェブページ「彩の国はたらく情報館」および「埼玉県内企業魅力紹介システム」に掲載し、広く埼玉県内の企業の魅力を伝えるもの。
名古屋工業大学 工学部 本学正課授業を受講させる中で彼らの社会人基礎力を向上させようとするプログラムである。彼らが進路選択を迷い始める(きっかけ)3年生の前期にリベラルアーツ系科目「キャリアデザイン」と夏季休暇のインターンシップ、更には後期専門科目である「環境高分子化学」を通してグループワークで課題設定型プログラムを執り行わせる。
西日本工業大学 工学部
デジタルエンジニアリング学科
学生が日産自動車九州(株)の実務の一部を卒業研究で担い、社会人基礎力として不可欠なスケジュール管理意識の元で課題解決に取組み、報告・連絡・相談、PDCAサイクルを回しながら、実践環境下で「人間力的な社会人基礎力」と「技能的な技術者基礎力」の両面から社会人基礎力を培おうとするものである。
日本大学 工学部
土木工学科
本福島県内の町村で管理する社会インフラの長寿命化を目指し、役場や地元企業の協力を得て、学生と住民との協働により、砂利道を簡易コンクリート舗装に変える道づくりや、橋の欄干を塗装する橋守事業を展開。また、住民にインフラに対する関心や愛着を持ってもらうため、地元の小学生に名前のない橋(名無し橋)に名前を付けてもらうプロジェクトを企画し、実践した。
浜松学院大学 現代コミュニケーション学部
子どもコミュニケーション学科
このプログラムを通じて、全ての学生に具体的な実践活動の機会を意図的に提供することにより、人・モノ・自分と真摯に向き合いながら対話する力、自ら進んで他者と協同する力、物事をやり遂げる責任感といった、専門性に裏付けされた実践力が身に着き、卒業時には現場の即戦力として活躍できる保育者・教育者を育てることができる。
広島経済大学 興動館 社会科学系の大学教育を抜本的に見直す新しい教育プログラムとして「人間力開発プログラム(興動館教育プログラム)」を全学年・全学科を対象とした横断的な正課の教育プログラムとして実施している。
流通科学大学 サービス産業学部
頭師暢秀ゼミナール
商業高校からの要請で商品開発の授業を提供し、大学生が高校生とともにロールケーキを商品化したプログラムである。大学生は、裏方として高校生を支える立場として活動することで、自身の社会人基礎力を学び直していく。
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◆社会人基礎力育成の効果的な取組のポイント
◆「授業30選」受賞大学事例
◆受講生のコメント  ほか