社会人基礎力を育成する授業30選

学生目線で商品開発から販売まで一連の活動を行い、実社会を体験するとともに、当事者意識を持たせる取組を実践

埼玉女子短期大学/国際コミュニケーション学科

産学連携に基づく地域活性化プロジェクト参画型アクティブラーニングプログラム

専門に学んでいる「エアラインビジネス」を基盤として航空会社が地方自治体と協働で実施している活性化プロジェクトに参画し、学生の目線から地域産物の有効活用や都市部での地域PR策を講じ、廃棄品を活用した商品開発と販売、絵本製作、その絵本を企業のサービス品として採用してもらうまでの活動を通じ、企業・行政のしくみや連携、思考力、企画力、実行力を醸成している。

プログラムタイプ 実践型学習(企業連携) 単位の授与

あり

実施している期間

平成21年4月〜平成26年3月

実施規模

参加教員: 1名 受講学生: 10名 連携企業数: 企業1社

地方行政機関: 1機関

授業時間数 40時間 学生のプレゼンの機会

あり(6回)

評価の回数

自己評価の回数: 4回 他者評価の回数: 2回

当該プログラムの実施範囲 ●単一の授業のみで実施

対象プログラムの具体的な内容

育成のための取組内容と育成のプロセス

学生の目標設定プロセス

(1) 履修者同士が全員の良い所を徹底的に言い合う。褒める。

→他人が見た個性や能力を認知させる。プロジェクトが進んでいく中で良い所よりも不足している所が目につきがちであることを予め意識させ、そのような時に、最初に皆で認め合い褒め合った時間を思い出す様に示唆、指導。これが最初の他己評価と位置づけられる。

 

(2) ブレーンストーミング
この授業には予め教員が与えた具体的テーマは設定していない。エアライン・ホスピタリティコースの中で学んだことを形にするというアウトラインのみであるため、学生達によって自由討議を実施。出た意見を否定しないスタイルで、実現不可能かとも思えるアイデアも制限を一切設けず発言させた。

 

学生に期待する行動

→最初から「出来そうなこと」を出す、という小さな観点からの発想を持たせず、一見「夢」であっても、自分達が学んだものを社会の為に何か役立てたいという思いにベクトルが一致するまで時間をかけて話合わせ、その中で最初のチームワークと当事者意識を持たせた。

 

企画立案プロセス

(1) ブレーンストーミングで出た意見をグルーピングしながら、学生達が取捨選択をしていく中で、どのようなことをすべきかの青写真を作る。

 

この時点で教員は産学連携先と、現在協働可能なコンテンツを模索。

 

学生に期待する行動

→制限の無いブレーンストーミングで各自が出した意見を基に、メンバーがどのような方向でこの取り組みを捉えており、何を実現したいと考えているのかを学生本人が感じる時期になる。そこで、いくつかに企画が集約されていく。自分の意見と同時にチーム内の意見や様々な価値観の中で、最もふさわしいものは何かを考え、それを形にしていくプロセスと実体験させる。

 

(2) 組織設立

一程度のベクトルと企画がまとまった時点で、当初に言い合ったメンバーの能力を活かすため、企業の組織図に則り、全員を何らかの部員とした組織を編成。実際には財務、教育・人事、広報、企画の5部門である。

 

学生に期待する行動→バーチャルであっても、自分達が企業の一員であるという意識を持つことにより、能動的に且つその役割に応じた思考が出来るようにする。

 

(3) 企業とのミーティング

1. 学生の企画を連携企業へ出向きプレゼンテーションを実施する。

ここでは、有る程度はテーマは絞られているものの、企業と協働でこの企画を実現したいという思いを伝えることがメインとなっている。

 

2. プレゼンテーションを受けてミーティング
企業はここで初めて学生達がどこにベクトルを持って取り組みたいと思っているかを知り、企業側のビジネスモデルと一致するフィールドを探っていくこととなる。

 

3. 課題抽出
ミーティングを受けて、企画実現の為の企業側から出された課題を認識し持ちかえり検討、企画の修正等を確認する。

 

学生に期待する行動

→議事の抽出、アポイントの取り方、会議での資料作りなど、自主的に企業担当者にコンタクトをとり準備を行う。

 

(4) 研究プロセス

1. Study
企業から提案された地域活性化に取り組んでいる地域への研究開始。

資料、実地訪問(愛媛県宇和島市)・研修、首都圏で行われた当該地域の勉強会にも参加。

 

学生に期待する行動

→Web上で地域研究は出来ないことを体感したいという学生からの要望により現地視察旅行を実施。実際市役所を訪問し、行政の取り組みや地域産業に携わる方々の職場に訪問し、そこでの課題や活動を理解しつつ、何より現地の方々との信頼関係構築。

 

(5) プロジェクトの本格始動 3グループ制

1. 地域活性化に繋がる具体的3活動を決定。

 

2. 各チーム活動(地域産物活用プラン実行PRコマーシャルフィルム製作絵本製作)

 

3. アウトプット

a 大学祭での研究発表(プレゼンテーション)

b 大学祭での製作物の実演・販売(特産物の販売・廃棄品活用商品販売)

c 製作した絵本の近隣小学校での読み聞かせと特産物に纏わる授業実施

d 研究発表実施

 

(6) 評価プロセス

1. 他己評価

2. 授業評価

3. 自己評価

4. 企業評価

5. 学内評価

 

アンケート形式の評価シート記入

 

学生に期待する行動

→自分達の仕事を個人でもチームでも評価し合い、PDCAサイクルを回す担い手である自覚を持たせる。

 

育成の評価

評価者

・総合:担当教員 企業担当者

・プレゼンテーション:学長 教職員 企業担当者

・自己評価:学生本人

・チーム評価:チーム内他己

 

評価基準

教員作成の評価基準シート

※経済産業省定義の社会人基礎力・能力を参考に独自で作成した評価基準活用

埼玉女子短期イメージ

効果的な育成・評価のための工夫

「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」等、社会で活躍するために必要だと思われる能力を育成する際の課題、育成の工夫点や成果

課題

1. PBLが広まっているとは言え、短期大学においては組織としての支援は十分ではなく、その実施自体への理解が本質的に遅れている。これは、短期大学の在り方にも関わることである。

 

社会人基礎力の醸成には、指導する教員、組織が成熟していることが必須であり、限られた範囲であっても大学がその必要性を深く理解することが、最大の課題である。

 

2. 高校教育の中で、PBLを見据えたカリキュラムが実施されていることを見聞きするが、それが大学教育へのブリッジとなっていない。その連携が密に取られることで、短期大学であってもより有効な育成が出来るのではないかと考える。

 

工夫点・成果

上記課題2に見られる高校教育からのブリッジとして2年前に試みたPBLでは、農業高校、商業高校で実際に行った作物づくりやその販売・会計実技を活用して、当プログラムで農産物を育成し、それを調理販売しながら、近隣農業協同組合の方々や農家の方々を協働で地元の地域活性化に取り組めた成果が挙げられる。

 

その他、当該プログラム独自に設定している能力項目を育成する際、その内容、課題、育成の工夫点や成果

教育力=記憶に残る「学び」が齎すもの。

本プログラムの中では全体テーマがどのような形になろうと、それに基づいた独自の「絵本」製作を継続して行っている。これは、学生達が考えた授業全体のテーマを、シンボリックに、また女子短大生らしい形に残すことと、それを本学が継続して行っている学習支援活動の中で活用し、単なる読み聞かせだけでなく、小学生にもわかりやすく自分達が学んだことを教えるという体験をさせている。学生は学んだことを、教える事で、初めて自分の本当の力になっていることを実感出来ている。

 

教育の効果を適切に評価・検証し、さらなる成長を促すための工夫

評価(1) 4月 他己評価 フリートーク形式 評価者 学生自身

評価(2) 6月 授業評価 評価シート(本学共通基準)評価者 学生自身

評価(3) 7月 自己評価 評価シート活用 評価者 学生自身

評価(4) 7月 教員評価 面接・発表 評価者 担当教員

※企業担当者からの評価は参考値

評価(5) 10月 自己評価 評価シート活用 評価者 学生自身

評価(6) 11月 授業評価 評価シート(本学共通基準)評価者 学生自身

評価(7) 12月 自己評価 評価シート活用 評価者 学生自身

評価(8) 01月 授業評価 評価シート(本学共通基準)評価者 学生自身

 

 

担当:教授 森川 佳世

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