社会人基礎力を育成する授業30選

プロジェクト主導型教育の実践等により、ものづくりに特化した社会人基礎力を有するプロジェクトリーダーを養成

岡山理科大学/工学部工学プロジェクトコース

建学の理念に基づく工学部学科横断的プロジェクト主導型教育システムの実践

学科横断的な工学関連科目の修得、岡山県認定マイスターによるものづくりに必要な加工技術・知識の修得、実務経験者によるチームビルディング方式のプロジェクト主導型ものづくり教育を実践。

プログラムタイプ 実務経験者および岡山県認定マイスターの指導による通常授業
単位の授与 あり 実施している期間

平成21年4月〜継続中

実施規模

参加教員: 14名 受講学生: 36名 連携企業数: 1社

授業時間数

32時間(1年あたり)

学生のプレゼンの機会

あり(半期に2回)

評価の回数

自己評価の回数: 15回(半期あたり) 他者評価の回数: 2回(半期あたり)

当該プログラムの実施範囲

●工学部において学科横断型教育課程として実施

対象プログラムの具体的な内容

育成のための取組内容と育成のプロセス

本学工学部で工学就業力として独自に定めた9つの能力の育成に鑑み、必要と思われる5つの課題を解決するために、本プログラムにおいては具体的に以下のような取り組みを実践している。(『 』内は、本プログラム独自に設置された講義・実習の科目名を表す)

 

1. 入学直後からの実践的な教育の実施

『チュートリアル』を設け、入学直後より、チューターの指導のもと学生生活や講義への心構えをはじめとした様々な議論あるいはものづくりに関わる実習などを通して、自分の目指す技術者像をイメージさせている。イメージ作りの見直し・維持を効果的に行うために、『チュートリアル』は2年次と3年次においても実施し、年次進行とともに技術者像のイメージを具体化させるためのサポートを行い、技術者となるためのモチベーション維持を図っている。

 

さらに、『プロジェクトデザイン』を設け、加工技術の専門家(岡山県認定マイスター)による指導のもと、ものづくりに必要な加工技術、材料特性などを学修させている。

 

加えて、『工学プロジェクトセミナー』を設け、ロボットの製作を通して、材料・力学・製図(CADを利用)・制御などの要素を融合させたものづくりを修得させている。

 

ここで学生に期待する行動は、自分が目指す技術者像を明らかにし、ものづくりのための知識・技術の基礎を身につけることで、少なくとも「社会人として必要なマナー」および「IT基礎力」を修得することにある。

 

2. 専門知識の効果的な修得に向けた取り組み

学生が、自分が目指す技術者像に近づくために必要な知識の修得を効率よく行うために、工学部の全面的な協力体制のもと、各学科から選ばれた教員が個々の学生と話し合い、時間割作成に協力するなど効果的な学修を可能にさせている。

 

ここで学生に期待する行動は、自分が目指す技術者となるために必要な知識・技術を、教員との議論を通して組み立てていくことを通して、「キャリアデザイン力」を修得することにある。

 

3. プロジェクト主導型教育の実践

2年次と3年次のそれぞれの前期と後期に『プロジェクト』を設け、企業の最前線でものづくりを指揮した経験を有する専門家の指導のもと、ものづくりを完遂させるために必要な具体的なプロセスを体得させる。

 

『プロジェクトマネジメント』を設け、プロジェクトの具体的な進め方、評価の仕方などについて学ばせる。

 

ここで学生に期待する行動は、ものづくりを完遂することができるようになることを通して、「計画立案力」と「工学応用力」を修得することにある。

 

本プログラムを象徴する『プロジェクト』においては、毎時間、講義終了時に講義において実施した内容および今後のスケジュールなどについてシートを独自に作成して記入させ、講義担当者がこれをチェックするとともに、アドバイスなどを記入し、次の講義時にフィードバックさせている。また、講義中間期においては、プロジェクトの進捗状況についての中間発表を行っている。さらに講義最終回には、最終発表を実施しており、「論理的記述力」の修得も図っている。

 

4. チームビルディング型教育の実践

『プロジェクト』実施にあたっては、数人で1グループとし、グループ内でのディスカッションを重ね、具体的な工程表を作成し、メンバーの役割分担を明確にすることで、プロジェクト完遂をより具体的なものにする。この作業を通して、チーム単位のものづくりの意義に気づかせる。

 

さらに、『プロジェクト』を2年次前・後期と3年次前・後期の計4回設けることで、【チームワーク】の修得、プロジェクトの完成度の向上、複数のチーム所属経験を図っている。

 

ここで学生に期待する行動は、プロジェクト遂行とともに、自己理解を深化させ、他者を理解し、さらに他者に自分を理解してもらうことにある。そして、プロジェクト遂行のためには知識・技術・チームワークが必要不可欠であることを体得させることを通して「コミュニケーション力」を修得させる。

 

5. プロジェクトリーダー養成

以上のプロセスにより、学生は無理なくものづくりに必要な技術力・企画力・実践力を身につけることが可能なように工夫されている。

 

学生に期待する行動は、『プロジェクト』などを通して成長した自分が、目標とした技術者たり得るかを確認するとともに、自分の目指す専門分野での卒業研究を実施し、卒業後は企業においてプロジェクトリーダーとして活躍することにある。ここに至り、これまでに修得してきた知識や技術を融合させ、より高い位置から俯瞰的に、「社会倫理力」および「生涯学習力」を修得させる。

岡山理科イメージ

効果的な育成・評価のための工夫

「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」等、社会で活躍するために必要だと思われる能力を育成する際の課題、育成の工夫点や成果

1.「前に踏み出す力(アクション)」育成について

プロジェクト主導型の科目『プロジェクト』では、プロジェクトのテーマおよびグループを決定するにあたり、まずは学生個人の希望をリストアップし、これをもとに議論を重ねテーマを絞り込み、同時にグループも編成できるように工夫している。この過程を経て学生は、自ずから能動的にグループ編成に関わることができるようになる。さらに、とくにテーマ集約の過程を通して、自己の希望するテーマならびに他者の提案するテーマを総合的に判断し調整することで、協調性・協働性が向上する。

 

加えて『プロジェクト』の評価を行うにあたり、プロジェクトの達成度のみに重きを置くのではなく、計画・立案・実施方法などのプロセスを重視し、【アクション】の育成を図っている。

 

この育成において重要となるのは、学生の個性にあわせた指導を的確に行って、まずは各人の【アクション】を引き出させることにある。そして、さらにはグループのメンバーとの議論などを経て、【アクション】から生まれる主体性に関する相乗効果を引き出すことである。

 

2.「考え抜く力(シンキング)」育成について

『プロジェクト』においては、実務経験者の指導のもと、プロジェクト完遂のために、具体的なプロセス設計を行って工程表を作成させるとともに、メンバーの役割を明確にして個人に責任感が芽生えるように工夫している。さらに、コストを意識させたうえで、具体的な設計・製図・製作を行わせ、必要となる部品などをすべて自分たちで探すよう指導している。そして、グループにおける自分の役割を十分に理解させるために、毎週、個人とグループの2種類についての報告書を作成させ提出させている。

 

この過程において重要となるのは、学生がプロジェクトを俯瞰的に眺めることができるようになること、そして自分の役割を認識することができるようになることである。その上で、自分が行うべき行動を能動的に考えることができるようになることである。

 

3.「チームで働く力(チームワーク)」育成について

2・3年次において開講している『プロジェクト』においては、数人からなるグループ単位で課題解決(プロジェクト遂行)のために、力を合わせて取り組めるような仕組みを整備している。さらに、このプロジェクト遂行にあたっては、企業の最前線でものづくりを指揮しておられた実務経験豊富な方を講師に迎え、2・3年次のそれぞれ前・後期の計4回経験させチームワークに加えプロジェクトを遂行するためのプロセスも含めた実践力の涵養に努めている。

 

したがって、本プログラムを卒業後、社会人となってすぐに、プロジェクトのリーダーとして活躍できるように工夫されている。

 

この過程において重要となるのは、学生に自己理解とともに他者理解に努める姿勢を引き出させ、協調性・協働性を向上させることである。

 

 

担当:教授 平野 博之

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