社会人基礎力を育成する授業30選

学生の主体的な学びとプロジェクトでの実践を通じて社会人基礎力が高まる、全学年・全学科横断的な正課の教育プログラム

広島経済大学/興動館

興動館教育プログラム

社会科学系の大学教育を抜本的に見直す新しい教育プログラムとして「人間力開発プログラム(興動館教育プログラム)」を全学年・全学科を対象とした横断的な正課の教育プログラムとして実施している。

プログラムタイプ

その他(興動館科目と興動館プロジェクト2つの相互作用により学習・実践する)

単位の授与

あり(興動館科目) なし(興動館プロジェクト)

実施している期間

平成18年4月〜現在に至る

実施規模

参加教員: 39名 職員: 14名 
受講学生: 科目1,000名 プロジェクト450名
連携企業・団体数: 10社・団体

授業時間数

約22時間(興動館科目)
※興動館プロジェクトにおいては定めていない

学生のプレゼンの機会

あり(科目・プロジェクトともに年2〜5回程度)

評価の回数

自己評価の回数: 2回 他者評価の回数: 1回

当該プログラムの実施範囲 ●専門組織により学部横断的に実施

対象プログラムの具体的な内容

本学の人材育成像である『「ゼロから立ち上げる」興動人』とは、既成概念にとらわれることなく、ゼロから物事を考え、失敗を恐れず、他者と協同して「何か」を成し遂げることのできる人材と定義している。また、その『「ゼロから立ち上げる」興動人』に必要な「人間力」を養うためには、学生が様々なことを経験・実践するプロセスを通して、学問・理論の有用性に気付き、実践に応用するというサイクルが効果的であるとした。

 

この「興動館教育プログラム」は、対話やプレゼンテーション、実体験を重視し、学生の自主性、可能性を引き出す教育手法を取り入れた「興動館科目」と、国際交流・社会貢献・地域活性・経済活動等の分野において、学生が主体的に企画、交渉、予算管理、準備・実行、報告・発表等の全般について取り組み、多種多様な人間と共に何事かを成し遂げることを重視した「興動館プロジェクト」の2つの柱から成り立っている。

 

育成のための取組内容と育成のプロセス

「興動館科目」は自由選択科目として位置づけ、学科や学年の垣根を越えてさまざまな学生の授業履修が可能となっている。授業運営においては、(1)少人数、(2)双方向授業、(3)体や手を動かす、(4)グループワークやフィールドワーク重視、(5)発表重視の5つの条件を掲げている。

 

「興動館プロジェクト」は、通常のゼミの単位や学年・学科の枠を超えて学生が集い、一人ひとりが主体となって新しい企画や目標を掲げて「ゼロから立ち上げる」体験を仲間と共有するところにある。そして、直面する課題や失敗体験を少しずつクリアしながら、到達目標を目指して実践活動に取り組む中で、「人間力」を培っていくことをねらいとしている。活動内容は、国際交流・社会貢献・地域活性・経済活動等で、プロジェクト活動の準備・実行はもちろん、企画、交渉、予算管理、準備・実行、報告・発表等の全般について、学生が主体となって活動している。

 

育成の評価

「興動館教育プログラム」では「人間力」を「元気力」「企画力」「行動力」「共生力」の4つの力の総和と定義し、「社会人基礎力」の「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働 く力」の3つの力と12の能力要素と同じものを指していることから、「社会人基礎力」の定義を取り入れた「プログレスシート」を導入し、科目担当者およびプロジェクトコーディネーターが学生の伸長度を定量的に評価し、学生の成長を促すための「興動館教育プログラム評価システム」を実施している。

広島経済大学イメージ

効果的な育成・評価のための工夫

「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」等、社会で活躍するために必要だと思われる能力を育成する際の課題、育成の工夫点や成果

「興動館科目」では、学生が能動的・主体的に「体験・参加」する「創成型学習」を目指す授業となっており、「教える授業」から「学びを生む授業」、インプット以上にアウトプットを重視する授業、結果以上にプロセスを重視する授業である。初年度の平成18年度における「興動館科目」の数は20科目、履修学生数は500名を数えた。平成25年度には31科目38クラスにまで増加し、履修学生数は1,000名にのぼった。

 

「興動館プロジェクト」では、学生が地域社会・国際社会の人々と連携しながら、社会で役立つ多くの実践的な知識やスキルを習得することができるとともに、多様な集団と共生し、それをまとめる能力も養成していく。初年度の平成18年4月開始時には4プロジェクト・50名であったが、平成25年度には19プロジェクト・450名まで増加している。

 

この2つの柱からなる「興動館教育プログラム」は、その連携に特色があり、「興動館科目」の履修学生が4つのフィールドで学んだ諸力をプロジェクト活動の立ち上げや遂行に生かしたり、「興動館プロジェクト」で活動を行うことで生まれた「気づき」から「興動館科目」で学び直したりする教育方法を想定している。

 

その他、当該プログラム独自に設定している能力項目を育成する際、その内容、課題、育成の工夫点や成果

「興動館科目」では、「人間力」を構成する要素として「元気力」「企画力」「行動力」「共生力」の4つの力を設定し、その力を身につけさせるための領域として「フィールド」を設定して科目を配置している。さらに各フィールドに「達成目標」を明示して授業を実施することとなっており、「フィールド」に配置された授業の担当教員は、その「フィールド」の目標に近づけるための方法を工夫して授業を展開している。

 

教育の効果を適切に評価・検証し、さらなる成長を促すための工夫

「興動館教育プログラム」に参加した学生が、実施期間の事前と事後の2回に亘り「人間力マップ」を参照してレベル数値と判断理由を「プログレスシート」に記入し、その自己評価をレーダーチャート化して学生の成長が一目でわかるようにしている。加えて、「興動館科目」では科目担当教員、「興動館プロジェクト」ではコーディネーターが、学生一人ひとりに対してコメントを記入し、学生にフィードバックをしている。さらに「興動館プロジェクト」では、事後の振り返りの際に、コーディネーターを囲んで、メンバー3~4名によるグループ面談を導入し、学生と教職員および学生同士による相互評価を行うことで、1年間の活動の振り返りをメンバーで共有し、お互いの気づきから今後の活動が活性化されるような方策をとっている。

 

その他教育づくりの工夫

ほとんどの「興動館プロジェクト」では、地域社会や企業等とともに実践活動に取り組むが、シラバスは特に作成せず単位認定もしていない。その主たる理由は、「学生自身が主体的に行う」というコンセプトを重視しており、活動形態・頻度・レベルなどについては、学生主体の会議や合意により行われるためである。ただし、大学教育の一環であるため、活動の認定にあたっては、学内の厳格な審査を経たもののみが認定される。また、1年間の活動を終えると「プロジェクト活動報告会」が行われ、この場では活動にご協力いただいた企業や地域の方々および教職員や学生に対して活動報告を行うことを義務付けており、これによってプロジェクトは一定の外部評価を受けることとなっている。

 

「興動館プロジェクト」の実施に不可欠なのが、本学教職員からなる「コーディネーター」の存在である。「コーディネーター」は、あらゆる局面で学生のプロジェクト活動を指導・サ ポートすることとなっている。その際、極力活動の内容には口を出さず、学生のトライを見守り、失敗が起きてもそこから学ばせるスタンスである。これにより多くの失敗が予想されるが、その失敗により気づくことが重要であると考え、教職員は学生が犯した失敗に対しての指導を怠らないように心がけている。また、学生が行き詰ったり悩んだりした場合には、プロジェクト活動以外の問題も含めて、教職員がメンターとして気軽に相談に乗ったり励ましたりする環境を整えている。

 

 

担当:課長 友松 修

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