社会人基礎力を育成する授業30選

産業界ニーズに対して自律的に能力を磨くスキルを有する人材を育成するため、変化に柔軟に対応できる教育環境を整備

金沢大学・共通教育機構/大学教育開発・支援センター

共通教育特設プログラム「キャリアディベロップメント」

生涯にわたって担う社会的役割(キャリア)について、学生が深く考えることを目指し、以下のような目的を立てている。

(1)働く上で求められる能力は何かを考え、現状とのギャップを認識し、自己の能力を自律的に伸ばすための方策を考える。

(2)学外での課題提案・解決型の就業体験や、教室での課題発見・解決型の協調学習を通して、社会で求められる汎用的能力を実践的に身につける。

(3)現代の社会人として活躍する上で必要な知識と教養を習得する。

プログラムタイプ 実践型学習(企業連携)、実践型学習(企業連携なし)、通常授業
単位の授与 あり 実施している期間

平成24年4月〜

実施規模

参加教員: 7名 
受講学生: 111名(必修のみ延べ人数)291名(必修+選択)

連携企業数: 4社

授業時間数

360時間

(プログラム全体を構成する全科目の時間数)

学生のプレゼンの機会

あり(2回以上)

評価の回数

自己評価の回数: 1回 他者評価の回数: 2回

当該プログラムの実施範囲

●全学的に実施

対象プログラムの具体的な内容

共通教育特設プログラムは、多数開講される共通教育科目を目的意識を持って履修できるよう、平成23年度に開設されたもので、現在9プログラムがあり、いずれも複数の共通教育科目から構成されている。

 

また、必修科目2科目4単位+選択科目群から6単位以上で、計10単位を履修することで共通教育特設プログラム修了認定証を授与する。

【必修科目】

キャリアディベロップメント入門、キャリアディベロップメント実践

【選択科目】

実践力入門、情報発信リテラシーII、動画配信サービスを用いた情報発信演習、プレゼンテーション演習、論理的思考と科学技術社会問題論理的思考と情報リテラシー、文系のための情報処理、理工系のための情報処理、医・薬・保険系のための情報処理、一歩進んだPC活用講座 ※いずれも単位数は2

 

育成のための取組内容と育成のプロセス

(必修科目)

1. まず、社会で働くうえで必要な力とは何か(社会人基礎力)について講義し、実際に各界で活躍している方から同様のテーマで講演を行っていただき、その必要性についての認識を深めさせる。次にそうした力を自律的に養う上で必要なセルフマネジメントスキル(「P-D-C-Aサイクル」の運用や、「目標による管理」手法の基礎)についての講義を行う。(キャリアディベロップメント入門)

 

2. つぎに、企業との連携で実施する「課題解決型インターンシップ」を通して、社会人基礎力を発揮する場を設定する。(キャリアディベロップメント実践)

 

3. さらに、2を取り組む際に、「P-D-C-Aサイクル」に基づいて学生が記入するシート(プログレスシート)を用い、セルフマネジメントの実践的な運用スキルを養う。(キャリアディベロップメント実践)

 

4. また、課題解決型インターンシップへの取組に対して、自己・他者評価を行う。加えて12の力がどのように発揮されその経験を通しどのようにそれらの力が養われたかを実感させる。(キャリアディベロップメント実践)

 

(選択科目)

教室での課題発見・解決型の協調学習を通して、コミュニケーション能力、論理的思考力、課題発見力・解決力、自律的な行動力など社会で求められる汎用的能力(社会人基礎力)を実践的に身につける。

 

育成の評価

1. レポート提出プレゼン発表の内容

2. 就業基礎力12の力の変化などから測定

3. プログレスシートによる自己評価、他者評価

効果的な育成・評価のための工夫

「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」等、社会で活躍するために必要だと思われる能力を育成する際の課題、育成の工夫点や成果

正課以外にも様々なキャリアラーニングイベントが開催されておりその参加を通して実践的な能力を育成する機会を提供している。

 

その他、当該プログラム独自に設定している能力項目を育成する際、その内容、課題、育成の工夫点や成果

本学で「就業基礎力」と定義づけている内容は社会人基礎力とほぼ同一であり、それに基づいた運用を行っている。

 

教育の効果を適切に評価・検証し、さらなる成長を促すための工夫

1. キャリアディベロップメント入門の授業の中で自律的な「P-D-C-Aサイクル」の運用方法について講義している。プログレスシートは「P-D-C-Aサイクル」に添って記入する流れになっており、これによって自律的な「P-D-C-Aサイクル」運用能力を高める工夫を行っている。

 

2. プログレスシートを記入する際には「就業基礎力12の力」を受診し、それについて自己評価を行わせるようにしているが、あわせて受け入れ先もしくは学内のコーディネータがアセスメント評価を行い、その結果を記録することになっている。これらの自己評価と他者評価の比較から新たな気付きを導き出す工夫を行っている。

 

3. 学生は就業基礎力12の力をいつでも測定することができ、また、様々な授業や機会を通して自己の能力の伸長や変化を確認することができる。

 

4.「金沢就業塾学生ポータル」では自分が過去に取り組んだプログレスシートや、過去のイベント参加者のプログレスシートを閲覧することができる(2014年1月現在で約100件の記入実績あり)。

 

5. こうした12の力の変化についてキャリアカウンセラーの相談を受けることができる。キャリアカウンセラーは個々の学生のイベント参加履歴を金沢就業塾管理画面で確認しながら面談を行うことができる。

その他教育づくりの工夫

(プログラム実践の工夫)

必修科目である「キャリアディベロップメント実践」は課題解決型インターンシップを地元の企業の協力を得て以下の内容で実施している。

 

1. その企業の経営課題の一つをテーマに挙げて学生に取り組ませる。

 

2. インターンシップ最終日には企業内で成果発表のプレゼンを実施しているが、そのプレゼンには大学の関係者も同席しフィードバックを行う。

 

3. 最後に、全体報告会を実施しインターンシップ受け入れ先の企業も参加する。

学生には取り組み内容についてまとめさせ、自己検証を実施し、具体的な改善等があればそれを報告させる。

 

さらにプログラムの内容をある程度標準化し、マニュアルを受け入れ企業に配布することで業務の煩雑化を防ぐよう工夫している。

 

また他者アセスメントについては受け入れ企業の意見を反映しつつ、学内のコーディネータが実施することで評価の負担を軽減している。コーディネータはインターンシップの最終日に実施される成果プレゼンにすべて立会い、評価を実施している。

 

 

担当:准教授 渡辺 達雄

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