本インターンシップは、(1)事前学習、(2)就業体験、(3)事後学習の3フェーズから構成しており、(1)の事前学習には自己評価による目標設定、企業分析シートによる企業と自身の専門分野の関係性の理解、社会人マナー研修等の受講から成っている。(3)の事後学習では目標設定に対する振り返り、企業担当者からの評価から今後の修学への具体的な目標を設定する。
プログラムタイプ | 実践型学習(企業連携) | 単位の授与 |
なし |
実施している機関 |
平成23年4月〜現在継続中 |
||
実施規模 |
職員: 22名 受講学生: 567名 連携企業数: 164社(平成25年度実績) |
||
授業時間数 |
57時間〜177時間 |
学生のプレゼンの機会 |
あり(2回以上) |
評価の回数 |
自己評価の回数:2回以上 |
||
当該プログラムの実施範囲 |
●全学的に実施 |
「学力×人間力=総合力」という考えのもと、「カリキュラムの充実」と「課外活動の活性化」を図っている。その中で、カリキュラムだけでは著しい向上を図る事が難しい、また測定しにくい「人間力」に焦点を当てたインターンシップを平成23年度より実施している。
このインターンシップは、カリキュラムと実社会を結ぶという役割があり、これにより学生は、「社会人としての基礎力」「社会と自身が取組んでいる専門分野との関係性」を理解し、インターンシップ後の授業への取組み意欲を向上させる事を目的としている。
具体的には、企業で就業体験を行う「学外インターンシップ」と、キャンパス内で就業体験を行う「学内インターンシップ」の2種類を運用している。これらは共に、就業体験の前・後に社会人基礎力を測定することを目的とした、ルーブリックを用いて自己評価を行い、学生は就業体験前の自身の社会人基礎力を把握し、この結果を基に獲得すべき基礎力を明確にすると共に目標を立て、就業体験に取組む。そして就業体験後には、目標に対する成長を振り返る機会を設け、今後の修学の充実へと結びつけていく。
育成のための取組内容と育成のプロセス
KITインターンシップのプロセスは、1事前学習、2就業体験、3事後学習の3つのフェーズから成っている。それぞれのフェーズの内容は以下の通りである。
1.事前学習フェーズ
(1)インターンシップガイダンス(1.5h) 本プログラムの概要、参加する意義等を学生に理解してもらうためのガイダンスを実施する。
(2)事前研修(1.5h) 就業するために必要なマナーに関する講習。基礎力セルフチェック票による自己評価と今後の目標設定。
(3)キャリアカウンセリング(0.5h~1h) 自己評価結果を基に、キャリアカウンセリングの実施。
(4)企業研究(1.5h) 参加先企業についての企業研究。(学外インターンシップのみ実施)
2.就業体験フェーズ(40h~160h)
設定した目標を意識しながら就業を行う。
3.事後学習フェーズ
(1)事後研修(1.5h) 就業前と同様に基礎力チェック票により自己評価を行う。事前評価と事後評価の値を比較し、自身の成長具合を認識する。
(2)キャリアカウンセリング(0.5h~1h) 事後評価の結果について、キャリアカウンセリングを受け、今後の目標設定及びアクションプランを策定する。
(3)「ステークホルダー交流会」(10h) 企業の人事担当者、技術者また自治体担当者に対して、自身の成長について発表・公表を行う。
育成の評価
育成のための評価は、学生自身が評価する自己評価に加え、学内インターンシップでは大学の教職員、学外インターンシップでは受入企業担当者が学生の評価を行う。評価基準は、基礎力セルフチェック票の24項目をそれぞれ9段階のレベルで表わしたルーブリックを評価基準とする。他者評価の結果については、その根拠を学生に示している。
例: 基礎力セルフチェック票「親しみ易さ」
◆24項目
1.親しみ易さ、2.気配り、3.対人興味/共感・受容、4.多様性理解、5.役割理解/連携行動、6.情報共有、7.相互支援、8.話し合う、9.意見を主張する、10.建設的・創造的な討議、11.セルフアウェアネス、12.ストレスコーピング、13.独自性理解、14.自己効力感/楽観的思考、15.主体的行動、16.完遂、17.情報収集、18.本質理解、19.目標設定、20.シナリオ構築、21.行動を起こす、22.修正・調整、23.遵法性・社会性、24.創造力 |
「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」等、社会で活躍するために必要だと思われる能力を育成する際の課題、育成の工夫点や成果
社会で活躍するために必要な3つの能力「前に踏み出す力」、「考え抜く力」「チームで働く力」を育成するためには、学生自身がこの3つの能力についてどのような行動(振る舞い)ができれば良いのか、例えば「前に踏み出す力」とは、具体的にどのような行動(振る舞い)なのか学生には伝えにくい。本プログラムでは、社会人基礎力を基に24項目に細分化し、更にそれぞれの項目のレベルを9段階の行動レベルで表現することにより、学生やその他の評価者が、評価しやすいように工夫した。これにより、誰もが定性的な評価項目を定量的に評価することができ、事前、事後の比較ができるようになった。
その他、当該プログラム独自に設定している能力項目を育成する際、その内容、課題、育成の工夫点や成果
社会人基礎力の3つの能力、12の要素は前述した様に学生にとって現在、自分がどのレベルなのか。また、どのレベルに達したいのかが明確にできないことから、具体的な行動に移す事ができない。
そのために、12の要素を24項目に細分化し、学生が理解し易い場面と行動(振る舞い)を9つの行動レベルで表現する事で学生が具体的に評価できる様にしている。
教育の効果を適切に評価・検証し、さらなる成長を促すための工夫
本プログラムで成長を実感した学生は、就業体験後に策定したアクションプランに従って、その後の修学の中で更なる成長のための努力を行う。自身の取組み内容と、その成長の結果を「ステークホルダー交流会」にて公表する。この交流会には、就業体験を受入れた企業の人事担当者、技術者、地域の自治体担当者を招き、学生の成長の様子を確認してもらう。交流会に参加した方々からは、学生に対しての具体的な評価と今後についてのアドバイスをいただく。これにより、学生は次回の交流会までに取組む内容を宣言し、更なる成長を促していく。この様に、本プログラムでは、学生の自己評価と第三者の評価の機会を繰り返すことで、学生の成長を促す工夫をしている。
担当:室長 高田 理尋
主幹 元 克幸、運営係長 梅野 清一郎