「社会人基礎力を育成する授業30選」受賞

将来のビジョンを明確にし、社会人基礎力を育成することで、管理栄養士合格に導く

愛知学泉大学 家政家部管理栄養士専攻教授 安藤明美先生

安藤明美先生
安藤明美先生

本学は、学則の中に社会人基礎力を取り入れ、全学的に社会人基礎力育成を通して、職場や地域の活性化に貢献できる人材を育成することを目指しています。

 

管理栄養士専攻では、卒業後に管理栄養士になることを目標としますが、そのためには、国家試験に合格することが必要です。本校の学生は残念ながら学力的に不十分で、目的意識がはっきりしない学生が多いのが実態です。そこで、この試験に合格するとともに、将来どのような栄養士として働き、社会に貢献するのかという「ビジョン」を明確に持たせるために、社会人基礎力の要素を取り入れた授業を行っています。

私が担当している授業は、1年生前期の「管理栄養士への道」、2年生前期の「栄養教育論」、2年生後期の「栄養教育論実習」です。これらを中心にお話したいと思います。

 

「課題発見力」「創造力」を中心に活用することで知識を身につけるための学習を習慣化

 

1年生前期の必修授業である「管理栄養士への道」では、自分が卒業後、病院や福祉施設などどのような場所で、どのような管理栄養士になりたいかを明確なビジョンとして持たせます。

 

人間の能力は氷山の一角に例えられます。水面上で発揮している能力はごくわずかで、残りの大部分は、水面下に眠っていると言われます。目指すもの、つまり、自分がなりたい管理栄養士のビジョンを強く意識することで、眠っている能力を発揮したいという強い気持ちが起こります。そして、具体的に能力を発揮させる手がかりとして、社会人基礎力の能力要素が活用できるということを教えます。管理栄養士合格を目指して、今後4年間で必要な知識・スキルを身につけるために、社会人基礎力の能力要素をどのように活用していけばよいかを理解することを目的としています。

 

2年生前期の「栄養教育論」では、座学で、知識を身につけることが中心となります。ここでは社会人基礎力の「考え抜く力」、特に「課題発見力」を使って、勉強することを習慣化します。15回の授業で毎回授業の振り返りシートに「課題は何か」「どのように解決するか」「いつするか」「どこでするか」といったことを、具体的に記入します。

 

この作業を通して、課題発見力だけでなく、計画力や傾聴力も伸びました。課題を発見するためには、計画的に物事を進めることや人の話を真剣に聞くことが必要だということに学生が気づいたためと考えます。

2年生後期の「栄養教育論実習」では、3年生で臨地実習を行うための知識を座学で学び、シミュレーションのプランを作成して、個人・ペア・チームでシミュレーションを行い発表します。この授業で活用する社会人基礎力は、「考え抜く力」の中の「創造力」です。毎回の授業で、どれだけ理解ができたかを自己評価し、理解度を100にするにはどうしたらよいかということと、理解を深めるためにどのように創造力を発揮したかをシートに記入します。

これによって、最初はとても低かった創造力が上がってきますが、シミュレーションの発表を行う14,15回にまた下がります(下図黄色い棒グラフ参照)。これは、発表するためにはまだまだ創造力が発揮できていないと、自分で気づくためです。こういった気づきも、さらに力を発揮するためには必要ではないかと思います。

社会人基礎力を授業で活用する取り組みを、平成19年度から実施していますが、80%だった合格率は100%近くに上がり、2013年卒業の管理栄養士専攻・就職希望者83名の100%が、福祉施設や病院などへの就職が決まりました。

 

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