—ロンドンで日本文化を伝え、ドミニカで野球指導法を学んだ体験を、
「総合学習」に生かそうー
キャリア&グローバル教育に使える「動画」と「授業案」を「トビタテ!留学JAPAN」が提供
語学は苦手!初海外!な高校生の留学に密着した動画
文部科学省と民間企業が協同し取り組んでいる海外留学創出プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」は、2013年に始まり、すでに5年、大学生は4,000名以上、高校生も1,800名以上(高校生は6月には800人以上加わる予定です)もの留学生を海外に送り出してきました。
そんな中、さらに高校生の留学を後押ししようと、 WEBムービー『高校生の留学ドキュメンタリー~なんとなくで決めた留学編~』と、『高校生の留学ドキュメンタリー~初海外、驚きの連続編~』の2作品を作成、2018年12月5日(水)より公開しました。(https://www.tobitate.mext.go.jp/hs/documentary)
このムービーは、2018年の夏休みに初めて留学した高校生(ロンドンへ3週間留学した静岡県の浜松西高校の松浦彩夏さんと、ドミニカ共和国へ2週間留学した中央大学附属高校の阿部大祐さん)の留学先での生活に密着してできたもの。2人の大きな変化・成長を捉えたそれは、高校生、高校教員、保護者、その誰もが見ても魅力的です。
また、「総合的学習の時間」におけるアクティブラーニングやキャリア教育などの授業素材としても使えるように意識し、ワークシート案や授業の流れ、先生が留学の意義に関する簡単な解説をするためのパワーポイントも用意され公開されました。
高校生の留学率はわずか約1%!語学力や情報不足がネック
日本の高校生の留学率は、短い期間のものを含めても約1%(※1)と大変低い数値で推移しています。
留学を阻害する最大の要因として、語学力が挙げられます。しかし、外国語が話せなくても留学できることをこのムービーは示しています。そして言葉の壁を乗り越えてコミュニケーションできることも伝えてくれます。また上位に、「留学・生活に関する不安」や「情報不足」が挙げられていることからも、リアルな留学の様子を高校生が知ることは、留学に一歩踏み出そうとする意識を持っていただくためには、大変重要だと思われます。(図1)
(図1)留学を希望しない理由(複数回答可)
出典:文部科学省 平成27年度高等学校等における国際交流等の状況について
※1:「文部科学統計要覧」(平成28年度)高等学校等生徒数と、「高等学校等における国際交流等の状況について」(平成27年度)の調査結果より算出
短期であっても重要な力が身についたと、本人は自己成長を実感。
一方で教職員や保護者など大人の理解度の低さという、もう一つの課題が顕在化
短期留学経験のある高校生の8割以上が留学により「将来に対する考えが変わった」、9割以上が「もう一度留学したい」と思っており、短期間で学生たちに多大な影響を与えています。
また、留学で身についた力について聞くと、8割が、語学力だけではなく、「コミュニケーション力」、「挑戦する力」、「ポジティブに考える力」が身についたとアンケート(図2)で答えています。この三つの能力は、経団連などが言う、まさに“企業がグローバル事業で活躍する人材に求める素質、知識・能力”などと、一致します(※2)。
にも関わらず、高校時代の短期留学(1ヶ月以下)は効果があると考える保護者、教師、その他社会人等は、約2〜3割にとどまります。その意義は、理解されていないようです。
日本の高校生の留学の9割近くが1カ月未満の短期留学です。しかし、短期であっても、10代の多感な時期に家族と離れ、異文化の同世代と交流する留学経験は、学生の価値観に大きな影響を与え、今後の学びの大きなきっかけになるのではないでしょうか。
短期留学生に密着取材したこのドキュメンタリームービーは、まさにそんなこと感じさせてくれる、生き生きした高校生の姿を見せてくれています。
(図2) 留学によってどのような力がつきましたか?(複数回答可)
出典:文部科学省 トビタテ日本代表プログラム
高校生コース派遣留学生(短期)向けアンケート (2017年1月)
※2:経団連「グローバル人材の育成・活用に向けて求められる取り組みに関するアンケート結果」(平成27年3月17日)
『高校生の留学ドキュメンタリー』ムービー概要
なんとなくで決めた留学編
浜松西高等学校 1年生 松浦彩夏さんのロンドン3週間に密着
高校1年生、松浦彩夏さんの3週間のロンドン留学に密着。先生に“就活に有利だから”と言われなんとなく決めてしまったものの、不安でいっぱい。実際、留学中、その不安は的中し、自分の英語が想像以上に通じない環境にとまどうことになりました。しかし、写真を一緒に撮ることをきっかけに交流を広げ、次第に自らが考えた日本文化を伝える授業を行うまでに、外国人との交流を楽しめるようになりました。そんな松浦さんの挑戦として、その変貌していく姿をカメラは収めました。
50秒版:https://youtu.be/JdNNgU5wA1s
5分版:https://youtu.be/js8YAHrrw-0
初海外、驚きの連続編
中央大学附属高等学校 3年生 阿部大祐さんのドミニカ2週間に密着
高校3年生、阿部大祐さんの2週間のドミニカ共和国留学に密着。野球部で部活に打ち込んできた阿部さんが、肩を故障したことをきっかけに、多くのメジャーリーガーを輩出するドミニカ野球の指導法に興味を持ち留学を決意。日本とは違う価値観と出会い、今後の人生で大切にしたい考え方を得た様子を追いかけました。
50秒版:https://youtu.be/dDfTklJAoxU
5分版:https://youtu.be/ToYNzqohxLA
中学・高校教員向けの動画活用特別授業案では
~すべては、一歩を踏み出すことから
単に、動画の視聴を案内するだけでなく、その内容を共有し自分に引き寄せ、生かしていただけるようにと、特別授業案も提案されています。
これからの世の中がよりグローバル化が加速していくことを感じてもらうと同時に、「挑戦」は特別なことではなく、一歩を踏み出すことから始まることを感じてもらい、最後に、「一歩を踏み出す宣言」を行ってもらう。そんな授業案です。
事前に先生が生徒に対して、流れと意義を説明するスライド案、ワークシート案もあり、しかもパワーポイントですから、教員独自でカスタマイズできます。
広報担当として、この動画制作を企画した西川朋子さんは
「留学ということを知っていただくきっかけとしても、中高の先生が、授業をしていただくことができるようでしたら嬉しいです」とのこと。
「トビタテ!留学JAPAN」とは
(公式WEBサイト: https://www.tobitate.mext.go.jp/ )
文部科学省初の官民協働海外留学創出プロジェクト。2020年までに、海外留学する若者を倍増する(高校生3万人→6万人、大学生6万人→12万人)目標を掲げてスタートしました。主な取り組みである「日本代表プログラム」は、100%民間の寄附を財源とし、民間企業約230社から116億円以上の寄附が集まり、返済不要の奨学金でサポートする留学支援制度です。座学だけではない多様な留学を通じて、世界で活躍できる人材の育成を目指し、既に6,000名以上の学生を選抜し約100か国に送り出しています。