この仕事をするならこんな学問が必要だ<印刷業界編>

厚さわずか0.76ミリのカード1枚に先端テクノロジーが詰まっている ~カード社会を支える印刷技術

大日本印刷株式会社

情報イノベーション事業部 C&Iセンターマーケティング・決済プラットフォーム本部 

土屋輝直さん

※2017年掲載。所属・肩書は取材時のものです。

第2回 小さいカードにICチップやアンテナも。情報工学、通信工学が支えるカード発行

手元にいろいろなカードを用意してみてください。どれも同じ大きさですね。カードは、ISO(国際標準化規格)で厚さは、0.76ミリプラスマイナス80ミクロンと規格が決まっています。カードのうち、ベーシックなのが磁気カードで、磁気カードだけの時代は、この厚さの中に磁気ストライプを1本入れればよかったのですが、現在は、カードの中にICチップもアンテナも入れなければならず、これには高度な技術が必要です。

 

このようなICカードのチップやアンテナに使われている技術は、大学の学問分野でいうと、情報工学、電子工学、通信工学が関係しています。

 

ICチップのソフトウエアは、OSもICチップ専用のものがあり、「Java」と「MULTOS」と呼ばれるプラットフォーム型のカード専用の汎用OSと、「ネイティブ」という各社が独自に開発するOSの大きく3種類があります。その上にアプリケーションソフトウエアが乗ります。さらに、カードを「発行」する、すなわち個人情報やカード情報を書き込むIT技術が必要です。

 

このため、DNPには、OSやアプリケーションソフトウエアを開発する部隊がいます。この部隊は20年くらい前からあり、現在、DNPが決済カードで高いシェアを占められているのは、OSから自分たちで作って、お客様の業務をサポートさせていただいているからだと思います。

 

交通系ICカードには通信技術が

 

カードの技術も数種類あり、カードの表面に金のチップがついていたら、それは接触型のICチップで、カードリーダーでICチップに書き込まれた情報を読み、暗証番号をカードリーダーに入力する「チップ・アンド・ピン」と呼ばれる技術を採用したものです。これは主に、クレジットカードや銀行のキャッシュカードに使われています。磁気ストライプと接触型のICチップの両方がついているのは、ICチップに対応していないATM や決済端末に対応するためです。

 

EdyやWAONなどの電子マネーや交通系ICカードは、非接触型ICカードと呼ばれるもので、カードの中にICチップとアンテナが入っています。

 

非接触型ICカードでは、カードが、カードリーダーが発生する磁界内に入ると、カードとリーダーがデータのやりとり(=通信)をして決済するための、コマンド・アンド・レスポンスと呼ばれる通信技術が必要です。反応する距離によって規格が決まっており、密着型(通信距離〜2mm)、近接型(通信距離〜100mm)、近傍型(通信距離〜700mm)、マイクロ波型(通信距離〜数m)に分けられます。電子マネーの場合は、近接型の規格のうち、50mm内でしか通信できない設計です。一方、駅の改札などで使われている交通系ICカードも近接型ですが、もう少し高出力で、100mm程度の距離で通信することができます。

 

ICチップを搭載したカードには、ほかに「ハイブリッドカード」といって接触型・非接触型の2つのICチップが搭載されているもの、さらに、接触と非接触の両方を兼ね備えた1つのICチップが入っている「デュアル・インターフェース・カード」と呼ばれるものもあります。

 

運営:リベルタス・コンサルティング

 (協力:河合塾)

 

 

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