この仕事をするならこんな学問が必要だ<建設業界>

足場がはずれて建物が現れる時の感動は現場ならでは 〜建設現場をまとめる施工管理の仕事

株式会社安藤・間

首都圏建築支店 建築部 工事第一部 太田原作業所

所長 片本新司さん

※所属・肩書は取材時のものです。

第2回 新入社員も現場では指示する立場に。品質・コスト・工程・安全・環境を管理

施工管理の主な仕事は「QCDSE」、すなわちQ=品質、C=コスト D=工程 S=安全 E=環境を考えながら、建築物を建てていくことです。 E=環境は近年加わったもので、ゴミや消費電力の削減、周囲環境の美化などを行います。また、建築関係や環境に関する法律、地方自治体の条例も確認します。

 

施工管理の具体的な仕事は、工程の計画、施工計画書の作成、施工図の作成やチェック、予算の作成と管理、資材や職人さんの手配、進捗状況や正しくつくられているかどうかの確認など多くの仕事があります。

 

新入社員研修では、小さな建物をチームでつくる

 

他の業界と異なるのは、新入社員でも、現場に配属されるとすぐに、当社の監督として、協力業者の作業員に対して、その人たちがベテランであっても、指示をしなければならないという点です。

 

そこで当社では新入社員研修で、実際にマンションの1部屋程度の大きさの建物をチームで分担してつくっています。作業員と一緒に、実際に自分たちの手で、鉄筋、型枠を組み、コンクリートを型枠に流し込む作業(打設)をします。この研修を通し、施工の流れや職人さんの苦労を学びます。

 

やり直しのきかないコンクリート打設に緊張

 

とはいえ、新入社員が現場に配属されると、いきなり工事の全てを担当するのではなく、順番に仕事を割り振られます。仮設担当、鉄筋担当、コンクリート担当など、工種ごとに担当がいます。仮設とは、建物本体ではなく、建物の周りに組む足場などです。足場であれば、図面を書き、資材や業者の方の手配をします。資材などを現場に入れたら、チェックして作業員に指示をして足場を組んでもらいます。

 

もちろん上司がチェックしますが、私はよく、若手には、コンクリートの打設を担当させます。具体的には、日程が決まったら、担当者は、まず打設する範囲からコンクリートの量を計算し、プラントに生コンの手配をします。そして、その日に打設する生コンの量と時間から、生コン車が何時に何台必要になるか計画して手配します。コンクリートを型枠に流し込むポンプ車についても、現場のどこに配置するかを決めます。さらに、コンクリートを流し込む人、コンクリートを締め固めるバイブレーターを扱う人、誘導員など、5種類くらいの作業員を一度に手配しなければなりません。コンクリートは一度流し込むと固まってやり直しができませんから、絶対に失敗できない現場の一大イベントです。私が若いときは「生コン車はちゃんと来るかな」などと、前日は心配で眠れませんでした。当日も、いくつもの作業が並行して行われるのを把握して指示を出すという重責を担います。また、人を動かすということはお金も発生しますので、結構大きな責任を担うことになります。大変ですが、やりがいのある仕事です。

 

こうして経験を重ねながら、現場の動きの全てがわかったころに、全体の工程を統括する主任になり、現場の指令塔である副所長、所長となっていきます。個人的には、工事全体の動きがわかる主任になると、この仕事の面白さが増します。

 

運営:リベルタス・コンサルティング

 (協力:河合塾)

 

 

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