この仕事をするならこんな学問が必要だ<IT・コンテンツ業界/人材サポート>

IT業界で引く手あまたのエンジニア 中でもゲーム業界は学歴でなく実力で勝負

株式会社クリーク・アンド・リバー社

クリエイター・エージェンシー・グループ

渡辺和宏さん

※所属・肩書は取材時のものです。

第2回 ゲームのエンジニアにも必要なコミュニケーション力、勉強し続ける力

優秀なエンジニアとは

 

エンジニアは、同じ言語の知識があってもスキルや経験で大きな差が出る職種です。普通のエンジニアと優秀なエンジニアでは、生産性に100倍の差があるという話も耳にしたことがあるくらいです。生産性というのは、プログラムを書くスピードはもちろんですが、メンテナンスのしやすさ、データ容量の大きさ、実行速度の速さなどが関係します。

 

例えば、データ容量の大きさは、プログラムの長さ(量)が影響します。普通のエンジニアが書くと3ページ分になるプログラムを、類似処理の共通化、複雑な関数の見直し等を行うことで優秀なエンジニアは1ページ分で書けたりします。プログラムが3倍の長さになれば、余計なデータのやりとりが発生して、ゲームの動作が遅くなってしまうため、同じ動きをするならデータ容量の小さいプログラムの方が良いプログラムということになります。

 

当社の場合、エンジニアの採用にあたっては、過去に作ったプログラムの審査や、課題を与えてプログラムを書くといった試験を通して、当社内のエンジニアが評価したうえで採用しています。

 

1つのゲーム作りに多くの職種が関わる

 

エンジニア以外には、ゲーム制作全体を取り仕切るプロデューサーや、ゲーム内容や演出を決めるディレクターという、ゲームの基本的な企画を考える職種があります。プランナーは、例えば「洞窟に入るとモンスターが出てくる」というような具体的な内容や設定を考える職種です。そして、モンスターの絵を描くのがデザイナーの仕事。エンジニアの仕事は、「モンスターがどのように動いて、どんな戦いをするのか」「主人公は戦うことによってどんな経験値がたまるのか」といったプログラムを書くことです。ほかにも、ゲームの音楽やサウンドを作る職種もあります。

 

エンジニアは単にプランナーの指示通りプログラムするだけではありません。エンジニアのアイデアが形になることもあれば、プランナーの提案を実現するのは技術的に難しいといった意見を述べることもあります。1つのゲームを作り上げるには、職種を超えて協力することが大切です。

 

進歩の激しい世界、常に向上心を

 

どの職種にも共通して言えるのは、例えば歴史ゲームを作るのであれば歴史の知識が必要というように、一般教養は学んでおいて損はないということでしょう。

 

また、チームでひとつのモノを作るため、他の人と円滑にコミュニケーションをとる力が求められます。そしてエンジニアの場合は、やはりプログラミングが好きであることが大切です。プログラミング言語が誕生したのは数十年前。それ以来、目まぐるしく技術は進歩し続けています。10年前にはない言語が現在は使用され、現在使用されている言語は将来なくなるかもしれません。したがって、常に向上心を持って最新の技術を勉強し続けることが何よりも重要でしょう。

 

おわり

 

興味がわいたら

『ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち』

Paul Graham 川合史朗:監訳(オーム社)

アメリカのLispプログラマーであり、スタートアップ企業を対象にしたベンチャーキャピタル「Y Combinator」の創立者であるPaul Grahamが、2001~2004年の間にかけて自身のWebサイトに掲載したエッセイをまとめた書籍です。10年以上前の書籍ですが、非常に示唆に富んだ内容で「ハッカー (≒プログラマー)には技術力に加えて何が必要か。何を勉強するべきか」を考えるヒントになると思います。技術書ではないので手軽に読めますよ。


『東京トイボックス』

うめ(小沢高広:原作 妹尾朝子:漫画)(幻冬舎コミックス)

テレビ東京系列で放送されたドラマの原作で、ゲームの開発会社が舞台となるマンガです。ゲーム作りの理想と現実、そこで働く人の想いの一端に触れることができます。


※本記事は、就職支援会社株式会社学情の協力で、学情主催の大学生向けの「ゲーム×IT業界フォーラム」(17年2月20日、23日)においてのフォローアップインタビューにより作成いたしました。

◆参考・各業界がわかります→「あさがくナビ」の「業界MAP」

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