この仕事をするならこんな学問が必要だ<IT業界/基幹情報システムサービス>

あらゆるモノがインターネットにつながるM2M/IoT社会到来~IT業界を支えるデータサイエンティスト、システムエンジニアの必要な知識とは

阪田史郎先生 元NEC研究所所長/元千葉大学 工学部 情報画像工学科

第2回 「ビッグデータを扱うデータサイエンティストになりたい」人のために~M2M/IoTを支えるデータサイエンティストという職業とは?

2006年2月エストニア・タリン(Skype研究所)にて
2006年2月エストニア・タリン(Skype研究所)にて

IT業界で、データサイエンティストという仕事がもてはやされているようです。みなさんの中にもビッグデータを扱う、データサイエンティストになりたいという人はいるでしょう。データサイエンティストに必要なのは、数学、特に応用数学的な能力です。ビッグデータ時代が到来し、膨大なデータを処理するために、応用数学の1つ、統計数学は今後間違いなく重視されるでしょう。

 

データサイエンティストになれば広がる仕事に何があるでしょう。 Twitter 、Facebook等のSNSが一つの大きな要因としてもたらしたビッグデータは、今では、データを解析し、ユーザの嗜好分析やマーケティングの仕事にまで利用されています。

 

自分のパソコン上でなく、大規模データをネット上で作成・保管できるクラウドサービスをご存知ですか。クラウドとは、コンピューターネットワークのイメージ図で、インターネットを雲(クラウド)と表すことに由来し、最近、企業や役所・団体で盛んに利用されています。そういう膨大な情報を解析し、将来予測することに役立てることも始まっています。それと同様、今後、有望なM2M/IoTのセンサネットワークから上がってきたビッグデータの処理・解析、将来予測、意思決定、大規模システムの設計などに、データサイエンティストは役立つと考えられます。

 

このM2M/IoTによってもたらされると予想されるのが、ユビキタスネットワーク社会であり、当時から開発が進められてきた重要なキーワードに「ウェアラブルコンピュータ」があります。

 

主に衣服や眼鏡、腕時計状で身につけたまま使えるコンピュータのことで、みなさんも良くご存知のアイウオッチなどがそうですね。ウェアラブル端末には腕時計や眼鏡の他に、指輪型、靴型などさまざまなタイプが出てきています。こうした端末からセンサでつながったデータの解析にもデータサイエンティストの活躍の場は広がっていきます。このようにデータサイエンティストの扱うビッグデータは、SNSにもクラウドにも、M2M/IoTにも関係します。

 

データサイエンティストに必要な学問は何でしょう。まず、情報の分析力を高める一分野として、応用数学の特に統計数学の力が必要です。情報系の学問に、「統計科学」がありますし、人工知能分野でも探索・論理・推論アルゴリズム、機械学習、データマイニングがあり、これらは情報系の代表的な応用数学といえます。最近、囲碁や将棋などのゲームや音声、画像の認識分野において大きな話題となっているディープラーニング(深層学習)は機械学習の中の一手法です。

 

情報系以外にも、数物系科学の学科の応用数学の中に「統計数学」の学問があります。学問にこれだけやっとけば大丈夫といった一気通貫の学び方などないと思いますけど、データサイエンティストを深く学びたいというのなら、やはり応用数学の基礎的な力は必要でしょう。

 

運営:リベルタス・コンサルティング

 (協力:河合塾)

 

 

運営

協力